「希望したのになかなかPCR検査を受けることができなかった」「濃厚接触者である家族がPCR検査を受けられなかった」

新型コロナウイルス感染を判定するPCR検査を巡る対応にこうした不満が高まる中、保健所を介さずに、かかりつけ医が必要だと判断した場合、新設されるPCRセンターで検査が受けられる体制が近く整う見込みだ。 

これによって検査が受けられないとの不満は大きく改善するものと思われるが、それでも検査を受けられるのは発熱や肺炎の症状などがあり、医者が必要と判断した場合のみで、無症状の人は仮に感染していても調べる手立てがないのが実情。こうした状況を打開しようと企業が自らPCR検査キットを入手し社員に配る事例がでてきた。 

スピーディーさを欠く現在の政府の対応が続けば、力のある企業は社員と事業を守るために同様の措置に動く可能性は高い。 

不安解消と事業継続が目的    

楽天<4755>は特定の症状は出ていないものの不安を感じている楽天のグループ企業の従業員や関連パートナー企業の従業員に「新型コロナウイルスPCR検査キット」の提供を決めた。 

利用者は自宅で検体を自己採取し、指定の場所に設置される専用回収ボックスに入れると、検査試料の中に新型コロナウイルスに特徴的なRNA配列が含まれているかどうかの判定報告を受けることができる。 

検査キットは遺伝子検査キットを手がけるジェネシスヘルスケア(東京都渋谷区)と連携し、同社が医療法人社団創世会(東京都渋谷区)の協力を受けて開発した国立感染症研究所のPCR検査法を厳守した解析手法によるという。 

楽天によると、同検査キットの導入決定について「新型コロナウイルスの影響が懸念されているグループや関連パートナー企業の従業員の状況把握において必要性に直面した背景がある」としており、従業員の不安が高まっていたことを明らかにしている。 

さらに同社の手がける携帯電話事業や物流事業、金融事業などが「社会インフラとして事業の継続が求められる」としており、事業継続においても新型コロナウイルスPCR検査キットの導入が必要だったとしている。 

新型コロナウイルスに感染しながらも無症状の人の割合は2割とも8割とも言われる。このため自身が感染しているのか、していないのか不安になる人は少なくないはず。無症状でも家族や身近な人たちを感染させてしまう可能性があるからだ。 

簡単に検査ができるようであれば、楽天の従業員でなくても希望する人は数多くいるだろう。新型コロナウイルスとの闘いは長期化が避けられない状況にあり、今後企業には従業員の不安を解消する何らかの取り組みが一段と強く求められることになりそうだ。 

こうした状況を踏まえ楽天は従業員への配布に加えて4月20日から東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、茨城県の法人向けの販売も始めた。5月以降に順次提供地域を拡大していく予定だ。

文:M&A Online編集部