2021年2月期に2年ぶりに最終赤字に転落する見込みの吉野家ホールディングス(HD)<9861>が、2年後の2023年2月期に復活の見通しを掲げている。 

新型コロナウイルスの影響で2021年2月期第1四半期は、傘下の吉野家、はなまる、京樽がいずれも赤字に転落したが、構造改革を進めることで2023年2月期の収益はコロナ前の2020年2月期の水準に回復するとみる。 

こうした強気見通しの裏付けとなっている戦略はどのようなものなのか。復活のシナリオを見てみると。 

2年ぶりの最終赤字に 

吉野家HDの2021年2月期第1四半期は売上高396億8100万円(前年同期比24.8%減)、営業赤字49億5500万円、経常赤字42億7800万円、当期赤字40億8700万円というさんざんな結果となった。 

緊急事態宣言下でも営業を続けた吉野家の売上高は前年同期比2.0%減とほぼ前年並みとなったものの、商業施設内に多く出店している、はなまると京樽は休業や営業時間の短縮などの影響が大きく、同50%前後の減収となった。 

減収に伴って損益の方も悪化しており、セグメント損失は吉野家が3億6700万円、はなまるが15億8100万円、京樽が13億3000万円といずれも前年同期の黒字から一転して赤字に転落した。 

こうした状況を踏まえ同社では2021年2月期通期の業績予想を売上高1723億円(前年度比20.3%減)、営業赤字87億円、経常赤字78億円、最終赤字90億円とした。最終赤字は2019年2月期以来2年ぶりとなる。 

チルド弁当の投入も 

同社では2023年2月期に2020年2月期の水準を回復すると想定しており、この想定の実現のために打ち出す施策が、はなまる、京樽を中心としたデリバリ-対応店舗の拡大や、吉野家でのチルド弁当の開発、最大150店舗の閉店など。加えて損益にプラス効果をもたらすのが2020年2月に実施したアークミールの売却だ。 

デリバリー対応店舗については2021年2月期第1四半期でも取り組んでおり、この期間中に1.3倍に増えた。はなまる、京樽についてはまだ対応店舗が少ないため、今後は両社を中心に対応店舗を増やしていく。 

吉野家では内食需要拡大に伴い冷凍牛丼の売り上げが、この期間中に60%ほど増えており、新たな需要獲得のためにチルド弁当の開発に着手する。さらに店舗については2021年2月期中に吉野家、はなまる、京樽、海外すべてで最大150店舗を閉店する計画。 

アークミールの売却はプラス効果 

安楽亭に売却したステーキやしゃぶしゃぶなどを手がけるアークミールは、2019年2月期、2020年2月期に2年連続でセグメント損益が赤字だった。同社が連結決算から外れることで損益が改善する見込みで、事実2021年2月期第1四半期では経常損益で1億4000万円のプラス効果があった。 

同社はこうした取り組みなどで2023年2月期にコロナ前の水準への回復を見込むが、このほかにも具体的な内容は未定ながらも新商品投入やキャンペーンの実施、新規出店、仕入れコストの低減などはもちろん、アークミールに代わる企業買収なども俎上に上がってくることが予想される。 

新型コロナウイルス感染症の拡大が続く中での復活宣言に、同社の自信が垣間見える。

【吉野家HDの業績推移】単位:億円、2021年2月期は見込み

  2018年2月期 2019年2月期 2020年2月期 2021年2月期
売上高 1985.03 2023.85 2162.01 1723
営業利益 40.19 1.04 39.26 △87
経常利益 46.04 3.49 33.69 △78
当期利益 14.91 △60 7.13 △90

文:M&A Online編集部