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過去最高売り上げを更新した「イオン」不振の上場子会社の影響は?
イオンは2022年2月期第2四半期決算で、売上高が4兆3449億1900万円となり、過去最高を更新した。子会社のジーフットは3期連続の営業赤字が避けられない見通し。イオンの業績に与える影響は?
大手スーパーのイオン<8267>は、100円ショップ「キャンドゥ」を運営する業界3位のキャンドゥ<2698>を、TOB(株式公開買い付け)などで子会社化することを決めた。
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イオン<8267>、100円ショップ大手のキャンドゥ<2698>をTOBなどで子会社化|上場は維持
イオンはキャンドゥを取り込むことで、キャンドゥが得意とする低価格商品の品ぞろえを強化でき、キャンドゥはイオン店舗への出店を増やすことで、売り上げアップやコスト削減などのプラス効果が見込める。
キャンドゥは10月14日に2021年11月の業績予想を、新型コロナウイルス感染症拡大の影響などを理由に下方修正した。「ダイソー」を運営する業界最大手の大創産業(広島市)や、「セリア」を運営する同2位のセリア<2782>は順調に業績を伸ばしており、業績に明暗が分かれつつある。
流通業界最大手のイオンの後ろ盾を得たキャンドゥは、上位2社を追撃することはできるだろうか。
キャンドゥの上半期の業績は当初予想通りに推移したものの、第3四半期に入り、天候不順や緊急事態宣言の延長などの影響を受け、売り上げが伸び悩んだ。その結果、2021年11月期の売上高は当初予想よりも0.7%低い、735億5800万円にとどまる。
売り上げの減少によって粗利益が減少するほか、地代や家賃、人件費などの負担が高まり、営業利益、経常利益、当期利益はともに当初予想よりも30%を超える減益となる見通しだ。
この結果、前年度比増収増益を予想していた2021年11月期は、前年度比0.7%増とわずかながら増収を確保できるものの、営業利益、経常利益は20%以上、当期利益は30%以上の減益を避けられない。
大創産業は非上場企業のため業績を公開していないが、信用調査会社の調べでは2021年2月期の売上高は前年度比14.8%増の5262億円に達した。前年度に決算期を3月から2月に変更したため伸び率が大きくなっているが、2019年3月期と比べても10.7%の高い伸びとなる。
セリアも巣ごもり需要や積極的な出店などによって、業績は好調に推移しており、2021年3月期は10%超の増収、20%超の増益を達成した。2022年3月期もこの勢いが続き、伸び率は低下するものの、増収増益基調は変わらない。
同社の2022年3月期の売上高は前年度比6.1%増の2130億円、営業利益は同3.4%増の220億円、経常利益は同3.0%増の220億円、当期利益は1.9%増の150億円の予想で、30%前後の減益を見込むキャンドゥとの差は歴然だ。
100円ショップ業界は、原材料費や人件費、物流費などのコストが上昇傾向にあるうえ、緊急事態宣言解除後は巣ごもり需要に陰りが予想される。イオンとキャンドゥとのタッグは、待ったなしの状況といえそうだ。
文:M&A Online編集部
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イオンは2022年2月期第2四半期決算で、売上高が4兆3449億1900万円となり、過去最高を更新した。子会社のジーフットは3期連続の営業赤字が避けられない見通し。イオンの業績に与える影響は?