黒字転換の「吉野家」ソファーでゆったり過ごせる新型店舗への改装を加速

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東京・八重洲の店舗

牛丼チェーン店「吉野家」を展開する吉野家ホールディングス(HD)<9861>は、ソファーやテーブル席で、ゆったりと牛丼を楽しむことができる新型店舗「クッキング&コンフォート」への改装を加速する。

2022年2月期第2四半期決算で収益力の回復が確認できたため、抑制していた改装投資を再開することを決めたもので、これによって、これまで店内に入りにくいと言われていた女性利用者の増加を目指す。

改装の加速で吉野家の象徴であったU字形のハイカウンターは徐々に減っていくことになるわけで、早さからゆったりへの転換が、「すき家」を運営する最大手のゼンショーホールディングス(HD)<7550>との競争を左右することになりそうだ。

収益力が改善

吉野家HDは2021年10月13日に、2022年2月期第2四半期決算を発表した。それによると売上高は前年同期比9.4%の減収となったものの、営業損益、経常損益、当期損益はいずれも黒字転換した。

2020年2月期の売上高に対して90%の水準でも利益が出せる体制づくりに取り組み、コストを削減してきた結果、黒字化できたもので、今後もコスト削減効果が続くほか、緊急事態宣言の解除に伴う市場の回復が予想されるうえ、コロナ関連の助成金なども加わり、大幅な増益が見込めるという。

このため、2022年2月期通期の業績予想も見直し、経常利益は53億円多い105億円に、当期利益は27億円多い、47億円に上方修正した。営業利益は当初予想通り27億円を据え置いたが、いずれも前年度の赤字から1年で黒字転換することになる。

こうした収益力の回復状況を踏まえ、新型店舗への改装再開を公表したもので、吉野家の国内店舗1183店(2021年8月末)のうち半数近くは、ゆったりとした雰囲気の店に生まれ変わる見込みだ。

【吉野家HDの業績推移】単位:億円、2022年2月期は予想

2020年2月期 2021年2月期 2022年2月期
売上高 2162.01 1703.48 1527
営業損益 39.26 △53.35 27
経常損益 33.69 △19.64 105
当期損益 7.13 △75.03 47

牛丼業界では「すき家」のゼンショーHDが、業績を伸ばしており、2022年3月期は営業利益で80%以上、経常利益で70%以上、当期利益で300%以上の増益を見込む。

売上高も15.6%の増収予想で、2022年3月期第1四半期の「すき家」などの牛丼カテゴリーの売上高だけを見ても、16.5%の増収となっている。

早さを売りにした既存型の店舗で高い成長を見せる「すき家」に、ゆったりとした新店舗で挑む「吉野家」。その勝負の行方は?

【ゼンショーHDの業績推移】単位:億円、2022年3月期は予想

2020年3月期 2021年3月期 2022年3月期
売上高 6304.35 5950.48 6880.63
営業利益 209.18 120.88 225.16
経常利益 199.03 122.15 207.89
当期利益 119.78 22.59 91.39

文:M&A Online編集部

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