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道路舗装業界、最大手「NIPPO」と2位「前田道路」が株式市場から退出する異例事態に

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TOBで非公開化が予定されるNIPPOの本社(東京・京橋)

道路舗装業界で株式市場から2社が「退出」する。同業界では現在5社が上場しているが、2位の前田道路が親会社の前田建設工業などとの経営統合で9月末に上場廃止となるのに続き、最大手のNIPPOも親会社のENEOSホールディングスによるTOB(株式公開買い付け)が近く始まり、非公開化される。主要業界を見回しても、上位2社がそろって非上場というのは珍しい。

ENEOS、上場子会社NIPPOを非公開化

道路舗装業界は大手8社体制が確立して久しい。売上高が4000億円を超えるNIPPO(旧日本鋪道)を筆頭に、前田道路、日本道路、鹿島道路、大成ロテック、大林道路、東亜道路工業、世紀東急工業が続く。このうち、鹿島道路、大成ロテック、大林道路を除く5社が現在上場。大成ロテック(旧大成道路)もかつては上場していたが、2009年に大成建設が完全子会社化した。

ENEOSホールディングスは9月7日、上場子会社のNIPPOに対して米ゴールドマン・サックス(GS)と組んでTOBを行い、非公開化すると発表した。親子上場を解消し、株式売却で得られた資金を脱炭素に向けた成長分野への投資に充てるのが狙い。

ENEOSはNIPPO株を約57%保有。GSが設立する特別目的会社はTOBで残る約43%の株式を買い付ける。TOB成立後、NIPPOはENEOSが保有する約57%について自己株式取得を行う結果、ENEOSは約1940億円を受け取る。さらにNIPPOを完全子会社化した特別目的会社に対し、ENEOSは50%超を出資することでNIPPOを引き続き連結子会社として維持する。

親子上場解消にはENEOSが直にNIPPOを完全子会社化する選択肢があるが、見送られた。アスファルト供給などで取引関係はあるものの、「事業領域の重複は限定的で、NIPPOは国内の公共事業・インフラ工事を主な事業とし、中長期的な成長を見込みづらい」との判断があった。

TOBは10月中旬~11月中旬に開始予定で、一連の手続きを踏んで2022年2~3月にNIPPOは1949年以来の東証1部上場にピリオドを打つ。NIPPOはGSの主導によって海外事業、不動産開発事業を中心に成長戦略に取り組み、将来の再上場を目指す。

経営統合、前田道路は共同持ち株会社の傘下

NIPPOに先立ち、業界2位の前田道路は9月29日に東証1部から外れる。前田建設工業と傘下の前田道路、前田製作所の上場3社が経営統合し、10月1日に共同持ち株会社「インフロニア・ホールディングス」を発足させる。3社に代わり、インフロニアが東証1部に上場する。

親子上場を解消し、グループ一体で「総合インフラサービス企業」の早期実現につなげるのが目的。ただ、すんなり統合にこぎ着けたわけではない。身内であるはずの前田建設と前田道路のバトルが勃発したからだ。

前田建設が約24%保有する前田道路の持ち株比率を50%超に引き上げて子会社化したのは昨年3月のことだが、前田道路が賛同せず、敵対的TOBに発展したのが記憶に新しい。資本の論理で力ずくで子会社化した経緯があるのだ。

前田道路本社(東京・大崎)

前田道路の前身は高野組。1961年に東証2部に上場したものの、この翌年に経営が行き詰まり上場廃止。再建に際し、前田建設の支援を仰ぎ、その後、社名も前田道路に改め、再上場を果たした歴史を持つが、株式市場からの退出も2度目となる。

道路舗装各社の多くはゼネコン(総合建設会社)の系列にある。上場会社では業界3位の日本道路が清水建設、8位の世紀東急工業は東急建設のそれぞれ関連会社。東亜道路工業は日米合弁会社を前身とし、唯一の独立系だ。

相互会社が主流の生命保険を除けば、主要業界の上位には上場企業が並ぶのが常だが、今後、道路舗装業界は様相を異にすることになりそうだ。

◎道路舗装大手8社(売上高は2021年3月期実績)

社名 売上高 設立
NIPPO 4457億円 1907年 中外アスファルトとして創業
前田道路 2346億円 1930年 高野組として設立
日本道路 1577億円 1929年 日本ビチュマルス鋪装工業として設立
鹿島道路 1262億円 1958年 丸善舗道として設立
大成ロテック 1234億円 1961年 大成建設道路部が独立し、大成道路を設立
東亜道路工業 1118億円 1930年 日本ビチュマルスとして発足
大林道路 1000億円 1933年 東洋鋪装として設立
世紀東急工業 900億円 1959年 世紀建設工業として設立

文:M&A Online編集部

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