かっぱ寿司が捨て身の半額キャンペーンに乗り出した理由

alt
かっぱ寿司 川崎市ノ坪店

カッパ・クリエイト<7421>が運営するかっぱ寿司が、9月26日に”前代未聞”と銘打った半額キャンペーンを実施しました。入店10時間待ちという大盛況ぶりで、駐車場付近の道路は大渋滞に見舞われました。公式ホームページやアプリはアクセスが殺到し、長時間繋がらない状態も続きました。カッパ・クリエイトはキャンペーン翌日に「寿司全皿半額」実施に関するお詫びを出す異例の事態へと追い込まれています。

あまりの混雑ぶりに店舗オペレーションが追い付かず、SNS上には寿司の崩れた写真がアップされました。カッパ・クリエイトは長らく「安かろう悪かろう」という消費者イメージから抜け出すことができず、競合のFOOD&LIFE COMPANIES(スシロー)<3563>やくら寿司<2695>と水をあけられていました。リブランドや品質の見直しを進めてきたのです。今回の半額キャンペーンは、時間をかけて再構築をしたブランドを元の状態へと戻しているように見えます。なぜ、このような捨て身のキャンペーンに打って出たのでしょうか。

この記事では以下の情報が得られます。

・カッパ・クリエイトの業績
・競合との比較

原価率を上げて品質を向上し、リブランドをかけていた

カッパ・クリエイトは回転寿司チェーンの中でも試行錯誤を繰り返していた企業でした。それは苦境に見舞われていたとも言い換えられます。新型コロナウイルスの影響を受ける前の2019年3月期の売上高は前期比3.3%減の761億5,800万円、営業利益は66.4%増の6億2,900万円でしたが、営業利益率はわずか0.8%です。くら寿司の2019年10月期の売上高は前期比2.7%増の1,361億3,400万円、営業利益は20.4%減の54億7,500万円だったものの、営業利益率は4.0%としっかりしています。

かっぱ寿司は2016年6月に「平日一皿90円キャンペーン」を実施するなど、品質ではなく価格で他社との差別化を図ってきました。それが消費者の「安かろう悪かろう」というイメージの元凶となります。その反省を活かして2016年10月からリブランド戦略を打ち出しました。キャッチコピーは「おいしいネタ、はなしのネタ。」でした。

かっぱ寿司の原価率は、リブランディング実施前の2016年3月期の44.3%から、実施後の2018年3月期は48.2%に4ポイント上がっています。かっぱ寿司の客単価は、リブランディング前の2016年4月から9月までの前年比の増減平均値は100.8%で、ほとんど変わっていません。しかし、リブランディング後の2016年10月から2017年3月までの平均値は104.0%。客単価は4ポイント上昇ししています。そして原価率も上昇していますので、客単価も原価も上げたことになります。それだけ品質が向上したと見るべきでしょう。

■カッパ・クリエイト原価率と販管費の推移(単位:百万円)

2015年3月期 2016年3月期 2017年3月期 2018年3月期 2019年3月期 2020年3月期 2021年3月期
売上 87,643 80,320 79,422 78,728 76,158 74,814 64,881
原価 38,518 35,603 39,048 37,963 37,388 35,812 31,491
原価率 43.9% 44.3% 49.2% 48.2% 49.1% 47.9% 48.5%
販管費 48,661 42,167 40,898 40,387 38,140 37,944 34,962
販管費率 55.5% 52.5% 51.5% 51.3% 50.1% 50.7% 53.9%

2017年3月期から2020年3月期までの売上高は減少続きとなりましたが、営業利益は上昇局面が続いていました。2018年3月期から3期連続で営業黒字となっています。

※営業利益の目盛は右軸

■カッパ・クリエイト業績推移(単位:百万円)

2017年3月期 2018年3月期 2019年3月期 2020年3月期 2021年3月期 2022年3月期
予想
売上高 79,422 78,728 76,158 74,814 64,881 73,866
前期比 98.9% 99.1% 96.7% 98.2% 86.7% 113.8%
営業利益 -524 378 629 1,057 -1,572 1,119
前期比 - - 166.4% 168.0% - -
営業利益率 - 0.5% 0.8% 1.4% - 1.5%

決算短信より筆者作成

かっぱ寿司は売り上げから利益を重視するようになりました。2019年3月末時点の店舗数は、前年比17店舗減少の331店舗。2020年3月末時点では更に4店舗減少して327店舗です。かっぱ寿司の販管費率が2020年3月期までわずかながら減少を続けていますが、これは不採算店を撤退して利益が出る体質へと変化させていたためです。リブランディングと退店を同時に行い、客数が戻ってきたら出店攻勢をかけ、売り上げと営業利益率を同時に伸長させる計画だったものと考えられます。

NEXT STORY

食べ放題50人に1人が無料に「カッパ寿司」が攻勢

食べ放題50人に1人が無料に「カッパ寿司」が攻勢

2021/09/16

カッパ・クリエイトが攻勢をかけている。2021年9月15日からカッパ寿司全店で、“すごい”煮干ラーメンの販売を始めたほか、9月16日から24日の間の5日間は、食べ放題「くじ引き付 食べホー」を実施する。