【セブン&アイHD】なぜそごう・西武を再生できなかったのか?

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「脱小売」という変化についていけなかった

これは1991年のピーク時に比べると半分以下に落ち込んだ百貨店市場に魅力はなく、「そごう・西武」の企業価値は所有する不動産しかないという「見立て」から。つまり不動産管理を「そごう・西武」に戻したことで、ようやく買い手がつくということだ。

実はこの「見立て」こそが、セブン&アイによる「そごう・西武」買収失敗の原因を示唆している。一言でいえば、鈴木氏は「小売」の枠組みから出ることができなかったのだ。鈴木氏の百貨店再建案を大雑把に言えば「百貨店並みに高級な商品を、スーパーやコンビニよりも少し高い価格で売れば消費者がついてくる」という価格戦略。しかし、百貨店の消費者はついてこなかった。

鈴木氏の持論通り、世の中の変化は激しい。すでに百貨店は「小売」で利益が出る時代ではなくなっていたのに「モノを売る」ことにこだわった結果、再建に失敗したのだ。百貨店業界では都市の一等地にある店舗を再開発してオフィスビルを併設、その家賃収入で収益をあげるビジネスモデルへシフトしている。

そごう・西武の百貨店事業は売却後に生き残ることができるか?(同社ホームページより)

もしセブン&アイが「そごう・西武」の再建を目指すのなら、真っ先に「西武池袋本店」などの優良物件を一旦閉店し、行政を巻き込んで大規模な都市再開発に乗り出すべきだった。時代は「小売の神様」と絶賛された鈴木氏を、とうの昔に追い抜いていたのである。

セブン&アイは買値と同じ2000億円前後での売却を目指すという。「そごう・西武」の所有不動産に、それだけの価値があると認められるかどうかがカギになる。「アクアシティお台場」の三菱地所や「ららぽーと」の三井不動産など、大型商業施設を展開する不動産会社が入札に参加する意向を示しているという。

セブン&アイは2月中に第1回目の入札を実施する。おそらく買い手に同業者の姿はなく、不動産会社と投資ファンド、あとはせいぜいヨドバシカメラやビックカメラといった大手家電量販店ぐらいだろう。バブル期には百貨店業界を席巻した「そごう・西武」にとって、淋しい幕切れになりそうだ。

M&A Online編集部

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