【セブン&アイHD】なぜそごう・西武を再生できなかったのか?

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百貨店買収の失敗がカリスマ経営者の「命取り」に

しかし、百貨店事業の業績が好転することはなかった。2009年8月に持株会社的な役割を果たしていたミレニアムリテイリングと事業会社のそごう、西武百貨店が合併して現在の「そごう・西武」となる。同月に「そごう心斎橋本店」を閉店。土地と建物は隣接するJ.フロントリテイリングに売却され、「大丸心斎橋店北館」となった。

同9月に「西武札幌店」、2010年12月に「西武有楽町店」、2012年1月に「そごう八王子店」、2013年1月に「西武沼津店」「そごう呉店」を相次いで閉店。赤字店舗を閉鎖する縮小均衡を目指したが、「そごう・西武」のブランドイメージを毀損(きそん)するばかりで百貨店事業の状況は悪化する一方だった。

鈴木氏がコンビニ、百貨店に続く新業態として目をつけたオムニチャネルを実現するため、2014年1月に約120億円のTOB(株式公開買い付け)で完全子会社化したカタログ・インターネット通販のニッセンホールディングスも赤字が続いた。

百貨店や通販の買収に失敗し、カリスマ性を失った鈴木元セブン&アイ会長兼CEO(Photo By Reuters)

大型買収による二つの新規事業が相次いで「大ゴケ」したことで、鈴木氏の足元も揺らぎ始める。2016年2月に、鈴木氏は井阪隆一セブン-イレブン・ジャパン社長の退任を求めたが、同3月に開いた取締役候補指名・報酬委員会で同社の業績が好調なことを理由に反対され、取締役会での社長解任案提出にまでもつれこんだ。そこでも賛成が過半に達せず、逆に鈴木氏が会長兼CEOの座を追われることになった。

この時に「お荷物」となっていた百貨店事業の売却がスタートしたと言っていいだろう。鈴木氏の退任以降「そごう・西武」店舗の閉店や同業のエイチ・ツー・オー リテイリングへの譲渡が一気に進む。2021年9月には「そごう・西武」が「西武池袋本店」の不動産管理会社セブン&アイ・アセットマネジメントを吸収合併し、業界では「セブン&アイの百貨店事業撤退は時間の問題」と囁かれ始めた。

M&A Online編集部

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