【セブン&アイHD】なぜそごう・西武を再生できなかったのか?

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「百貨店立て直しは難しくない」と豪語していたが…

その後も鈴木氏はPOS(販売時点情報管理)によるマーケティングの導入や銀行業への参入など、新たな取り組みで国内小売業界をリード。そんな鈴木氏に飛び込んできたのが、大手百貨店チェーンのM&Aだった。ディール(取引)を持ち込んだのはミレニアムリテイリングの和田繁明社長(当時)。和田氏は西武百貨店に入社後、レストラン西武(現・コンパスグループ・ジャパン)の経営再建で頭角を現す。

バブル崩壊後の西武百貨店やそごうでの再建手腕を買われ、和田氏は両社が経営統合して2003年に発足したミレニアムリテイリングの社長に就任する。和田氏の最大の懸念は、2007年に予定していた株式上場後の安定株主探しだった。

そこで親交があった鈴木氏に出資を打診したところ「上場よりもセブン&アイとの経営統合の方が良いのではないか」とM&A話が持ち上がり、トントン拍子で交渉が進む。鈴木氏は小売業の「頂点」である百貨店経営を狙っていたのだ。

鈴木氏は1978年9月に「札幌松坂屋」の再建に乗り出し、1979年4月にはイトーヨーカ堂主導の「ヨークマツザカヤ」として再出発させた。1984年に米百貨店のJ. W. ロビンソンと提携して、ロビンソン・ジャパンを設立。1985年11月には埼玉県春日部市で1号店となる「ロビンソン春日部店」をオープンしている。しかし、あくまで単発的なものに過ぎず、全国に店舗網を持つ百貨店チェーンの買収は魅力的なディールだった。

セブン&アイに本格的な百貨店事業進出のチャンスが巡ってきた(そごう・西武ホームページより)

ミレニアム買収について鈴木氏は「世の中が変われば消費者心理も変わる。百貨店もスーパーも顧客の側に立って物を考えればよい。百貨店立て直しが難しいなんてことはない」と自信たっぷりだった。この「経営哲学」に基づき、デパート、スーパー、コンビニで同一価格という高級プライベートブランドの「セブンプレミアム」や「セブンプレミアムゴールド」を投入。商品自体は好評だったが、百貨店事業の業績は好転しなかった。

「小売の神様と呼ばれた鈴木氏ですら百貨店事業を立て直せないのか」。株主は失望し、「不採算事業の百貨店からは手を切るべきだ」との声が日増しに高まった。それでも鈴木氏は「セブン-イレブンはイトーヨーカ堂の創業者から、セブン銀行はメインバンクのトップからも反対された。前例がないことは、みんな反対するのだ」と意に介さなかった。

M&A Online編集部

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