アジア販路の獲得へ 初の海外M&Aを実現

 2017年は10月、「鮭とば」などの水産加工品を手がけるヤマニ野口水産(北海道留萌市)を子会社したのに続き、12月に初の海外M&A案件としてシンガポールで寿司などの日本食を製造・販売するJSTTシンガポール社の全株式を約14億円で取得した。

 JSTTの子会社化は日本食人気が高まるアジア市場での販路獲得が目的であることはいうまでもない。市場が縮小傾向にある国内にとどまらず、今後も成長が見込まれるアジア市場の取り込みに向けて第一歩を踏み出す。中小企業支援プラットフォームの新たな柱として海外販路を構築するほか、JSTTを起点としてアジア企業のM&Aを進める考えだ。

 そして3月に加わったニューフェースが、おむすびころりん本舗。日本アルプス山麓の豊富な地下水と低湿度の気候を生かし、独自のフリーズドライ加工技術を備える。即席めん具材やお茶漬け、ふりかけ、非常食などを主力とする。同社の全株式を2億円で取得すると同時に、第三者割当増資を4億円で引き受けて財務体質の改善や設備投資に振り向ける。

14番目の子会社となった「おむすびころりん本舗」のお茶漬けシリーズ

 もちろん、いったんグループに収めながら、最終的に売却したケースもある。2010年に弁当総菜の製造販売会社、2011年には健康食品の通信販売会社を子会社化したが、いずれも2年ほどで手放している。

 目下、食品に携わる中小企業の相互補完・相互成長を目的とするヨシムラ・フードHDのビジネスモデルは他に例をみない。経営が順調であっても後継者が不在のため、廃業するケースも急増。中小企業庁の調査によると、2016年度に黒字のまま廃業した中小企業の割合は50.5%と半数を超え、同社の出番がますます増える情勢にある。

間口広げ、Eコマースや食品機械に触手も?

 グループ化する子会社群の間口が広がることが予想される。子会社の顔ぶれは関東を中心に東日本に集中(西日本は1社のみ)するが、今後は全国的なネットワーク形成に向けて関西、中国・四国、九州の企業へのアプローチを強めることになる。グローバル化ではアジアでの販路開拓を軌道に乗せるのが先決だ。業種面でもグループ内のシナジーを一層引き出すうえで、Eコマース(電子商取引)や食品機械メーカーの取り込みが視野に入ってくるとみられる。新たな成長のステージに向けて、どんなM&Aを繰り出すのか、次の一手に興味が高まる。

文:M&A Online編集部


この記事は企業の有価証券報告書など公開資料、また各種報道などをもとに作成しました。