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創業CEOがいきなり「解任」されたウィーって、どんな会社?

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ニューマンCEO解任に動いたソフトバンク

さらにはニューマンCEOが保有株を担保に多額の借り入れをしていることや個人所有の不動産を自社に借り上げさせるリースバック契約を結んでいたこと、彼の個人会社が「ウィー」の商標権をウィーカンパニーに600万ドル(約6億4000万円)前後で売却したこと、おまけに本人の薬物使用疑惑まで飛び出すなど、個人的なスキャンダルも噴出した。

こうした状況から市場ではウィーカンパニーの企業価値を疑問視する声があがり、上場直前に大幅下落を引き起こしている。すでに同社の企業価値は100億ドル(約1兆円)程度との厳しい見方すらあり、これを食い止めるためには「問題児」のニューマンCEOを排除するしかないと筆頭株主のソフトバンクは考えたようだ。

その背景にはソフトバンク側の焦りもある。SVF1号ファンドに450億ドル(約4兆8000億円)を出資したサウジアラビア政府系ファンドのパブリック・インベストメント・ファンド(PIF)は、同2号ファンドでは同1号ファンドの再投資に限定する方向で検討を進めているという。同1号ファンドに150億ドル(約1兆6000億円)を出資したアブダビ首長国のムバダラ開発公社も、同2号ファンドの出資額を100億ドル(約1兆円)未満に引き下げる方針だ。

こうしたSVFに対する「腰が引けた」対応の原因が、ウィーカンパニーの企業価値下落なのは間違いない。ソフトバンクとしてはSVFを守るためにも、ウィーカンパニーの企業価値下落を食い止める必要がある。そこで創業者であり、オーナーCEOのニューマン氏を排除せざるを得ないと判断したのだろう。

ただ、今回の事実上の「解任劇」でウィーカンパニーの評価が一時的に上がったとしても、中・長期的な見通しは不透明だ。同社はニューマンCEOのカリスマ性で成長した企業であり、彼を解任した後に「ウィーワーク」に入居するベンチャー企業や起業家が引き続き利用してくれるかどうか。

ユーザーにはニューマンCEOの信奉者や、彼の理念に共感しているユーザーも少なくない。若手ベンチャー経営者を引き付ける「ウィーワーク」のオフィスデザインやサービスも、ニューマンCEOの功績が大きいのだ。

米アップルが1985年に創業者のスティーブ・ジョブズ氏を追放したところ、創業以来の製品のデザインやコンセプトが迷走し、顧客が離れて同社の長期低迷につながった。「ニューマン・カラー」が強いウィーカンパニーだけに、CEOを交代したことが裏目に出るおそれもある。

ソフトバンクもニューマン氏を切り捨てることはできなかった。会長として残し、1株当たりの議決権も通常の10倍から3倍へと3分の1以下に減るものの、依然として優遇されたまま。「スムーズな辞任の交換条件」との見方がもっぱらだが、ソフトバンクとしてもニューマン氏を「完全追放」するリスクも無視できなかったはずだ。

ジョブズ氏は1996年にアップルへ復帰し、どん底に陥っていた同社を世界のトップ企業に育て上げた。ニューマン氏が再びウィーカンパニーを率いる日は来るのだろうか。

文:M&A Online編集部

M&A Online編集部

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