紳士服のコナカと服飾雑貨のサマンサタバサジャパンリミテッドが急接近中だ。コナカはサマンサ株式の31.3%を9月末に取得し、筆頭株主となる。コナカの湖中謙介社長が個人で所有するサマンサ株式のすべてを会社として引き取るもので、サマンサは持ち分法適用関連会社としてコナカのグループ企業の一員に加わる。顧客層や取扱商品は対極にある両社だが、双方の思惑とは。

コナカが「会社」として直接出資へ

サマンサタバサが創業者で会長兼社長の寺田和正氏の退任と、寺田氏が保有する62.6%の株式の半分(31.3%)を湖中コナカ社長に譲渡することを発表したのは4月半ば。株式譲渡は6月21日付で完了し、この時点で湖中氏は寺田氏と並ぶ筆頭株主となった。

サマンサはバッグやジュエリー(宝飾品)を中心に、世界に向けた日本発ブランドの展開に挑戦してきたことで知られる。アパレルでもM&Aをテコに事業を広げてきた。コナカは、湖中社長による株式取得を機に両社で情報交換を重ねる一方、事業上のシナジー(相乗効果)の検討などを進めてきた。

その結果、コナカは自社にない国内外の店舗網や商品の企画・生産体制、幅広い女性顧客層などを評価し、直接出資が企業価値の向上につながると判断し、湖中氏個人から全株式を取得することにしたという。

取得予定日は9月30日。同日の時価で湖中氏から買い取る。湖中氏自身はサマンサ株を1株311円、総額約34億3500万円で取得した。サマンサ株価はコナカが2日に株式取得を発表したのを受け、5日に一時397円の年初来最高値をつけた。6日のサマンサ株の終値は323円。仮にこの前後の水準で推移すれば、会社側の取得金額は約36億円となる。

順当なら業務提携に発展か

もともとサマンサ創業者の寺田氏との個人的なつながりから、湖中氏が株式を取得した経緯がある。しかし、コナカに所有者が切り替わり、会社ベースとなると、今後の両社の関係にがぜん注目が集まる。

持ち株比率30%強の大株主となれば、当然ながら、出資先の経営方針に口をはさまない「モノ言わぬ株主」ではいられないはずだ。持ち分法適用関連会社となるサマンサの業績はコナカ自体の決算にも一定の影響を与える。順当なら、事業面での連携・協力に向けて業務提携が今後、検討されるとみられる。

「紳士服コナカ」ブランドの店舗(東京・三鷹)

両社とも業績苦戦中

実は、両社とも業績は苦戦中。コナカは青山商事、AOKIホールディングスに次ぐ紳士服3位で、「紳士服コナカ」「SUIT SELECT」を中心に国内に約530店舗(飲食事業は除く)を展開。少子高齢化やクールビズシーズンのスーツ買い控えなどによる市場縮小に直面して久しい。

2018年9月期は売上高4.4%減の651億円、営業利益48%減の9億円、最終赤字4億9000万円(前期は9億円の黒字)。売上高は3年連続で減少し、営業減益は2期連続。最終損益は過去3年で2度赤字に陥っている。19年9月期は営業増益、最終黒字を予想するが、売上高の減少は避けられない見通しだ。

サマンサもかつての勢いは失っている。2019年2月期は売上高13.7%減の277億円、営業利益6億6400万円(前期は16億5300万円の赤字)、最終赤字13億3700万円(同36億円の赤字)。売上高は3期連続で減少し、ピークの16年2月期の434億円から160億円近くダウンした。最終損益も3期連続赤字で、コナカ以上に経営立て直しが急務になっている。

2月末の国内店舗は292店(バッグ・ジュエリー234店舗、アパレル58店舗)。バッグ・ジュエリーの店舗は1年間で30店以上減らした。