看板業からIT分野に業容を拡大してきたクレストホールディングス(東京都港区)が、集成材や木質建材の製造や加工、卸売りなどを手がける東集(東京都江東区)の子会社化を決めた。

同社は「既存産業を花形産業に昇華する」事業に取り組んでおり、すでに傘下のクレスト(東京都港区)は看板業に加えウィンドーディスプレーにカメラを取り付け、通行人や顧客らの行動を分析する事業に着手。やはり傘下のガーデニング用植物やファッション商品、雑貨などを販売するインナチュラル(東京都港区)も植物分野での新規展開を進めている。

これに今回のM&Aで建材事業が加わるわけで、同社では木材卸売業界に対する新たなイノベーション(技術革新)の創出を目指すという。どのようなイノベーションが生まれ花形産業に生まれ変わるのか、関心が集まる。

AIを活用し入店客の年齢や性別を推定

クレストホールディングスは既存産業の生産性を高め、得られた利益でイノベーションを起こし、花形産業に変革させる取り組みを進めている。

屋外看板の施工会社として創業したクレストはウィンドーディスプレーやサイネージ(電子看板)などを手がけ、近年はウィンドーディスプレーにカメラを取り付け、何人がウィンドーディスプレーの前を通り、何人がディスプレーを見て、何人が入店したかという通行人や顧客の行動を分析する事業を始めた。AI(人工知能)を活用して入店客の年齢や性別も推定する。

クレストはこの取り組みで看板の製作にとどまらず、データの集積や分析などを行う先端的なIT企業へと変身した。

こうした変革経験をもとにインナチュラルの店舗でも花形産業への変革に取り組んでおり、今後は木材卸業でも同様の取り組みを展開する計画。クレストではこれまで培ってきた経験や知識を東集に対して生かすことが可能としている。

東集は1962年創業の木製品卸売業者で、創業時から集成材に特化し、堅調に事業を続けてきた。

M&Aの目的は事業の補完や規模の拡大、新分野への参入、事業承継などが一般的で、老舗企業を花形企業に生まれ変わらせることに焦点を当てるのは珍しい。木材卸が花形産業に生まれ変わる日はいつだろうか。

文:M&A Online編集部