トヨタ自動車<7203>が中国市場へ「アクセル」を踏み込んでいる。今年5月の2019年3月期決算会見で豊田章男社長が「中国に対して他社に比べると、トヨタの伸びはもう少し改善の余地があったんじゃないのか」と中国市場の深耕にハッパをかけた。世界最大の自動車市場である中国に注力するのは当然とはいえ、その加速ぶりは他社と一線を画す。何がトヨタを突き動かしているのか?

李首相と豊田社長のトップ会談

2019年4月、トヨタは中国の新興電気自動車(EV)メーカーの奇点汽車と提携した。トヨタが奇点汽車に電動化技術を販売する一方、同社がEV生産で得た温暖化ガス排出クレジットの余剰分をトヨタが優先的に購入する。同月に清華大学と「清華大学-トヨタ連合研究院」の設立で合意し、5年間の共同研究に取り組む。

同7月には世界最大の電池メーカーである中国CATLと新エネルギー車(NEV)向け電池に関する包括的パートナーシップを締結したのに加え、EV中国最大手の比亜迪(BYD)とEVの共同開発で合意したと発表した。さらに中国配車サービス最大手のDidi Chuxingとライドシェアドライバー向けの車両関連サービスを展開する合弁会社を設立し、Didi Chuxingと合弁会社に約6億ドル(約660億円)を出資すると発表している。

新会社設立と出資で調印したシュ・ケイシDidi Chuxing上級副社長(左)と友山茂樹トヨタ副社長

こうした矢継ぎ早の「中国シフト」のキッカケとなったといわれているのが、2018年5月に実現した李克強首相のトヨタ自動車北海道(北海道苫小牧市)訪問だ。豊田章男社長が出迎え、最新技術関連の展示物を北海道に持ち込んで李首相に披露した。

開発中の自動運転車が高速道路を試験運転する様子の映像を流し、「自動運転技術の一部は、トヨタが中国の大学と共同で研究開発したものだ」と説明。すると李首相は「トヨタが中国で共同研究を積極的に進め、グローバル市場での競争力を備えたハイテク製品を開発してほしい。中国政府は知的財産権の保護を約束する」と返答したという。