中央大学国際経営学部の飯田朝子教授は「ネーミングの極意-記憶に残り商標登録に成功する商品名とは-」と題した論文を発表した(日本政策金融公庫調査月報2019年9月号掲載)。 

短い名前で覚えてもらう

飯田教授は、日本人は名前を付けることに関心が高いが、商品ネーミングをビジネスにどのように活かすべきか工夫の余地があると指摘する。良い商品名は信頼感を生んで商品をヒットさせる重要なアイテム。簡単なプロセスを踏めば、誰でも魅力的なネーミングを考案して商標登録できるという。

まずは商品の特徴を表す1、2文字を組み合わせて短い名前を作ることから始めようと勧める。例えば、歯磨き粉の名前を考えるなら「は、ハ、歯、HA、び、ビ、美、BI」といった商品にまつわる言葉の材料を揃える。それらを組み合わせて「美歯(ビバ)」などを提案できるという。 

しかし、3音以下の短い名前は忘れられやすいという実験データがあり、消費者の記憶に残るためには、意味付けが必要であると指摘する。例えば「ハホペ」と聞いただけでは何の商品名か分からず忘れやすいが「ワイトニングしてくれるースト」の略と意味付けされれば記憶に残る。

さらに長い名称の場合には、4音に縮めた形にすると親しみが増すという。例えば、マクドナルドの「グラタンコロッケバーガー」は「グラコロ」、クラシエの「甘栗むいちゃいました」は「ちゃい栗」「カレーハウスCoCo壱番屋」は「ココイチ」といった具合だ。

外国語を商品名に使う時には中学英語レベルの語にとどめ、日本人が苦手な発音の綴りが含まれないようにすると良いとアドバイスする。例えば「オレオ・クリスピー」は、もともとの名は「OREO Thin」という名だったが、「th」の音を避けるために「クリスピー」としているのだという。 

商標登録率を上げるには

良い名前のアイデアが出たら、商標登録を勧める。商標は「ただ一つの名」を権利として保証するものだが、近年の商標登録率は6割程度に下がってしまっているので注意点がいくつかあるという。

最も重要なのは商品名が固有名詞になっているかどうか。掃除機に「クリーナー」とか、氷菓に「アイスクリーム」とだけ付けては申請は通らない。そこで「蒸気でキレイになるクリーナー」や「あおぞら牧場アイスクリーム」といった要素を1つか2つ足して固有名詞化する手間が不可欠だと訴える。

最後に、飯田教授はブームとなっている高級食パンの「門外不出」や「入魂」「革命児」などを用いた個性的な名前を例にあげ「商品との関連性が薄いネーミングは、一過性の注目に終わってしまうことが多い。まずは消費者が親しみやすい名称を優先して考えていくべき」と締めくくった。

文:M&A Online編集部