旅行大手エイチ・アイ・エス(HIS)が不動産・ホテル業のユニゾホールディングスに対して実施していたTOB株式公開買い付け)が23日期限を迎えた。

ユニゾをめぐって、米投資ファンドのフォートレス・インベストメント・グループがHISを上回る買付価格を提示し、対抗TOB の形で参戦したことから、HISの対応が注目されていたが、買付期間の延長や買付価格の引き上げを行わなかった。これによりHISのTOB撤退が確定し、今後はフォートレスによる TOBの行方に注目が移る。

期限までに価格引き上げなど行わず

HISはユニゾ株4.79%を持つ筆頭株主で、所有割合を45%に高めることを目的に7月11日にTOBを開始した。ユニゾを事実上傘下に収め、ホテル事業で提携を進めることなどを狙った。買付価格は1株につき3100円(7月9日の終値に対し約56%のプレミアムを上乗せ)で、最大426億円を投じる計画だった。

しかし、TOB開始直後からユニゾ株が急上昇し、市場価格が買付価格を上回る高値で推移。このため、多くの株主にとってTOBに応募するよりも市場売却する方が有利な状況で、予定数の株式を買い付けるのが困難視されてきた。

ユニゾはHISのTOBに反対を表明し、敵対的TOBに発展していた。こうした中、8月16日、米フォートレスがHISに対抗して、ユニゾの完全子会社化を目的とするTOBの実施を発表。買付価格は1株4000円とHISの提示を約3割上回り、買付総額は最大1368億円に上る。

ユニゾ側が賛同する友好的TOBで、フォートレスが「ホワイトナイト白馬の騎士)」として参戦した。HISは対応を迫られる格好となっていたが、TOB終了期限の23日までに買付価格を引き上げるなどの条件変更を行わなかった。週明けの26日にもTOBの結果が発表されるが、応募株式は予定数に届かず、“敗北”が濃厚だ。

高値のユニゾ株、新たなTOBの行方も不透明

ただ、途中参戦したフォートレスとしても先行きは不透明。23日のユニゾ株の終値は60円高の4335円で、買付価格の4000円を1割近く上回る。買付期間は10月1日までだが、現行の株価水準が続けば、TOB成立(買付予定数の下限は66.7%)はやはり難しくなる。

一方、争奪戦に敗れたとしてもHISとして、仮に保有するユニゾ株を手放せば、かなりの売却益が得られるだけに、現在の高値圏はむしろ歓迎すべき状況ともいえる。

ユニゾホールディングスが展開するビジネスホテル(東京・八丁堀)

目が離せないファンド筋の動き

 HISによるTOB開始後、米投資ファンドのエリオット・マネジメントがユニゾ株を新規取得し、9.9%まで所有割合を高めている。フォートレスが対抗TOBを開始すると、今度は独立系投資顧問のいちごアセットマネジメントによる新規取得が判明し、現在、ユニゾ株6.64%を所有する。

こうした投資筋の動きはユニゾ株の上昇を誘う展開になっているだけに、TOBの成否を占ううえで目が離せそうにない。

文:M&A Online編集部