ロートが買収した「ボラギノール」の天藤製薬、その意外なルーツ

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一般向け目薬メーカー最大手のロート製薬<4527>が2021年6月8日、痔の治療薬「ボラギノール」を製造する天藤製薬(大阪府豊中市)の株式67.19%を取得して子会社化すると発表した。買収金額は非公開だが、日本経済新聞は年間売上高(58億6000万円)の約1.5倍となる90億円程度とみている。目薬メーカーが目をつけた天藤製薬とは、どんな会社なのか?

薬種商から京大発ベンチャーへ

同じ関西系大衆薬メーカーの両社だが、歴史は天藤製薬の方が古い。同社の創業はロートよりも86年早い1813年にさかのぼる。初代天津屋藤助が丹波福知山城下にあった元伊勢神社の門前で雑資商を創業したのが始まりだ。

この神社にはおよそ100km離れた京都から参拝に訪れる客も多く、参拝客向けの和漢薬を取り扱う薬種商「天藤」を立ち上げたという。

転機が訪れたのは1921年10月、 8代目天津屋藤助の大槻欽三が「天藤薬化学研究所」を設立。日本で痔疾治療の新薬新製剤第1号となった「ボラギノール坐薬・軟膏」を発売した。大槻は京都帝国大学病院で薬剤師として勤務しており、ボラギノールは大学病院の院内製剤として開発。いわば「大学発ベンチャー」の走りといえる。

商品名のボラギノールは、当時の製品の有効成分だった紫根エキスから名付けられた。紫根エキスは染料として使う植物「ムラサキ」の根から抽出した成分で、「ムラサキ科」のラテン名「Boraginaceae」からとったという。

天藤薬化学研究所は同大学病院の要請を受けて、院内製剤を内務省承認医薬品として開発した。当初は軟膏として販売されたが、昭和初期には現在のような注入容器に充填した商品も開発するなど使い勝手を向上。痔薬メーカーとして全国的に知られるようになる。

戦後は生産自動化に力を入れた。1962年に坐剤自動成型機を導入して、日本で初めて坐剤製造の自動化に着手。1971年には全自動坐剤成型機を導入し、日本で初めて坐剤成型包装の自動化に乗り出す。1999年にはイタリアから全自動成型包装機を輸入し、医療用坐剤充填包装ラインの自動化を実現している。

天藤製薬は武田薬品工業<4502>のグループ企業。ロートの子会社になった後も、武田は引き続き天藤製薬株の約30%を所有する方針だ。

文:M&A Online編集部

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