ゴルフ場の運営事業とパチンコ機などの遊技機事業を経営の2本柱とする平和<6412>の2022年3月期の業績がV字回復する。
2021年3月期はコロナ禍で大幅な減収減益に陥ったが、ゴルフを中心に需要が堅調に推移しているため2022年3月期は売上高がコロナ前を上回るとともに、営業利益はわずかに届かないものの、コロナ前の水準にまで戻る見込みだ。
2021年3月期業績は2020年8月に黒字予想を発表した後、新型コロナウイルスの影響を考慮し、2021年2月に当期赤字に業績を下方修正したが、最終的には黒字を確保することができた。この流れを受け2022年3月期は、コロナ禍の中でも業績を伸ばすことが可能と判断した。
ゴルフは感染リスクの少ないレジャーとして需要が拡大していることもあり、同社の予想通りに業績が推移する可能性は低くはなさそうだ。
平和の2022年3月期の売上高は1507億円(前年度比39.9%増)の見込みで、コロナ前の2020年3月期の1445億7300万円を60億円強上回る。
新年度のスタート月である2021年4月のゴルフ事業の状況を見ると、売上高は前年同月比173.4%、来場者数は同161.8%と好調だ。高い伸び率は前年同月が新型コロナウイルスの影響で同50-60%と低調だったためだが、その分を差し引いてもコロナ前の水準に戻りつつある。
さらに感染リスクを避けるためスループレー(昼食をとらずに18ホールをプレーするスタイル)が増え、顧客単価が下がるとの予想だったが、2021年4月は同112.9%(2020年4月は同82.0%)となり、新型コロナウイルスの影響は薄らいでいるようだ。
利益面は営業利益が223億円(同4.2倍)、経常利益が214億円(同3.69倍)、当期利益が139億円(同16.06倍)と急回復する。いずれもコロナ前の2020年3月期には届かないものの、本業の儲けを示す営業利益は2020年3月期比5.3%の減益にとどまる。
同社はこれまでM&Aでゴルフ事業を拡大してきており、コロナ禍の中の2021年3月期も5ゴルフ場を買収した。2022年3月期も「都心部で交通の便が良く、来場者が見込めるゴルフ場を中心に取得していく」との方針を明らかにしており、M&Aの状況によっては利益の見通しも変わってきそうだ。
【平和の業績推移】単位:億円、2022年3月期は予想
2021年3月期の業績は、2021年3月期第3四半期時点(2021年2月9日)で12億円の当期赤字の見込みだったが、最終的には8億6500万円の黒字を確保することができた。
2020年8月時点では10億円の黒字見通しだったため、新型コロナウイルスの影響で一旦赤字に転落したあと再び黒字化したことになる。
売上高は1077億4400万円(前年度比25.5%減)で、このうちゴルフ事業が744億5200万円(前年度比10.2%減)、遊技機事業が332億9200万円(同46.0%減)となった。
【平和の2021年3月期業績予想の推移】単位:億円、2021年3月期時点(2021年5月13日)は実績
2020年3月期時点(2020年5月12日) | 2020年8月21日 | 2021年3月期第3四半期時点(2021年2月9日) | 2021年3月期時点(2021年5月13日) | |
売上高 | 未定 | 1248 | 1064 | 1077.44 |
営業利益 | 未定 | 69 | 33 | 53.11 |
経常利益 | 未定 | 63 | 38 | 57.99 |
当期利益 | 未定 | 10 | △12 | 8.65 |
文:M&A Online編集部
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