ワクチン大規模接種を支える「武田薬品」の取り組みとは?

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東京・大手町の新型コロナウイルスワクチンの大規模接種センター

新型コロナウイルス向けワクチンの大規模接種が2021年5月24日に、東京と大阪の会場で始まった。ワクチンは武田薬品工業<4502>が輸入する米国のバイオ企業モデルナ(マサチューセッツ州 )が開発したものを使用する。

同ワクチンは、たんぱく質を生成するための情報を運ぶ遺伝子であるメッセンジャーRNA(mRNA)を用いており、2021年2月から接種が始まった米ファイザー製のワクチンと同じタイプ。

2021年5月21日に厚生労働省から製造販売承認を得たばかりだが、武田薬品が近鉄エクスプレス<9375>や日本航空<9201>などとともに構築した流通体制が機能し、供給面での支障は出ていない。

武田薬品はモデルナのほかにも、米国のバイオ企業ノババックス(メリーランド州)とも契約を結んでいるが、こちらは輸入ではなく年内にも国内でノババックス製ワクチンの製造に着手する計画だ。

武田薬品の新型コロナウイルスワクチンに関する取り組みを見てみると。

流通体制を構築

武田薬品はモデルナのワクチンを輸入し日本国内に供給するため、2021年3月に厚労省に製造販売承認申請を行った。これに先立ち武田薬品はモデルナ製ワクチンを用いて日本の健康成人200人を対象に第1/2相臨床試験を実施。その結果2回の接種を行った全員に2回目の接種から28日後にウイルスの活性を抑える中和抗体が増えることが分かったと発表していた。

さらに武田薬品は製造販売承認を得た5月21日に、ワクチンの流通体制についても発表。近鉄エクスプレス、日本航空のほかに、関西エアポート(大阪府泉佐野市)、三菱倉庫<9301>、日本医薬品卸売業連合会に所属する会員構成員企業40社、メディパルホールディングス<7459>で構成するプロジェクトチームを結成し、ワクチンの製造地であるベルギーから日本までの輸送と、国内の接種会場への流通体制を構築した。

モデルナのワクチンの保管温度はマイナス20度Cプラスマイナス5度Cで、厳格な温度管理が求められるため、モデルナが日本に5000万回分のワクチンを供給する契約を結んだ2020年10月から準備を進めていた。

今後、大規模接種のための会場が増加することが見込まれ、武田薬品が構築した流通体制が効果を発揮することになりそうだ。

国内で年間2億5000万回分を製造

武田薬品では、モデルナのほかにノババックスのワクチンの供給にも取り組んでおり、国内の製造拠点で年間2億5000万回分のワクチンを製造する準備を進めている。

現在、厚労省が1億5000万回分の調達を前提に、武田薬品とノババックスとの契約について協議中。協議が整えば、日本でのノババックスワクチンの接種が、2021年後半か2022年初頭に開始される見込みという。

ノババックスのワクチンは遺伝子組み換えたんぱく質ナノ粒子技術を用いたもので、ファイザーやモデルナのmRNAワクチンとは異なる。武田薬品はノババックスからワクチン製造技術の移転や使用許諾受け、自前の設備で製造する。

日本はワクチン接種で出遅れているが、こうした取り組みで今後接種スピードが加速することになりそうだ。

文:M&A Online編集部

M&A Online編集部

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