RAKU SPAの極楽湯ホールディングスが債務超過の瀬戸際に

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RAKU SPAは極楽湯が運営するブランドの一つ

極楽湯ホールディングス<2340>が窮地に立たされています。2021年3月期の売上高が前期比27.8%減の105億4,700万円となり、15億4,600万円の営業損失を計上。30億8,100万円の純損失を計上しました。純資産額は2020年3月期の39億6,600万円から13億3,000万円となって66.5%がコロナ禍で蒸発。自己資本比率は16.5%から5.5%まで急降下しており、債務超過寸前の危険水域に追い込まれました。

この記事では以下の情報が得られます。

・極楽湯ホールディングスの業績
・中国出店の詳細
・資金調達の状況

伸び悩んでいた中国事業がコロナでより鮮明に

極楽湯は新型コロナウイルスの感染拡大が本格化する直前の2020年3月期も32億6,400万円の巨額損失を計上しています。この期の売上高は前期比8.7%減の145億9,700万円に留まっていました。赤字の直接的な要因は、店舗が計画よりも収益性が見込めなくなったことによる減損損失です。特に中国事業の影響が大きく、この領域だけで21億300万円の減損損失を計上していました。

実はこの中国事業はコロナ前から苦戦が続いていました。

極楽湯HD決算説明会資料より
極楽湯HD決算説明会資料より

中国事業は2019年4-6月、7-9月に累計で5億円以上のセグメント損失を出しています。これは新規出店コストが嵩んだため。その刈り取り期を迎える翌2020年4-6月、7-9月も累計で4億円の赤字を出しています。競合店の影響を受けて想定よりも売上高が低く、利益を出すことができませんでした。2021年に入ると中国の新型コロナウイルス感染拡大が深刻化。2021年1-3月は売上が急減しています。

極楽湯は2009年11月に中国最大の金融グループの一つCITICグループの投資運用会社CITIC International Assets Management Limited(香港)と、投融資やホテル経営を行うマーチャント・バンカーズ<3121>との間で資本業務提携契約を締結。マーチャント・バンカーズが当時保有していた極楽湯の株式8.34%の50%をCIAMが譲受し、極楽湯40%、CIAM30%、マーチャント・バンカーズ30%の出資比率で合弁会社を設立しました。

CITICの中国における幅広いネットワークを活かし、フランチャイズ展開をする企業を見つけるとともに、資金的なバックアップを得て直営店を出店する計画でした。2013年1月に海外1号店となる「極楽湯 碧雲温泉館」を上海に出店しています。10年で100店舗を出店する計画でした。

「海外1号店(上海) オープンのお知らせ」より
「海外1号店(上海) オープンのお知らせ」より

2021年1月にはFC契約をした中国の有力家電メーカーのハイアール(山東省)が「極楽湯 即墨温泉館」をオープンしているものの、2021年5月の段階で出店数は9店舗。合弁会社設立から10年以上経過して10店舗にも届いていないことを考えると、決してこの事業は順調とはいえません。

決算説明会資料より
決算説明会資料より

たとえ日本型の入浴施設が中国で人気を獲得したとしても、参入障壁の低い「箱ものビジネス」は、地元企業が類似施設を出店しがち。それは中国ビジネスの常識とも言えます。かつて日本独自の結婚式場であるゲストハウスを根付かせようと、国内ブライダル企業が相次いで中国に進出しました。しかし類似の結婚式場が乱立して悉く失敗したことはよく知られています。

増資による資金調達は不可避か

国内では3度目となる緊急事態宣言が発令され、6月までの延長も視野に入っています。日本サウナ総研の「日本のサウナ実態調査2021」によると、「コロナによってサウナに行く回数が減った」と回答した割合は60.6%にも上っています。2021年も外出が制限され、スパやサウナの利用は控えられるでしょう。

最初の緊急事態宣言が発令された2020年4-6月の極楽湯の国内事業の売上高は、同期間比53.6%減の13億600万円、8億1,900万円の赤字(前年同期間は1,700万円の赤字)となりました。2度目の緊急事態宣言時の2021年1-3月の売上高は同期間比22.5%減の24億3,500万円、1億1,200万円の赤字(同4,100万円の黒字)でした。緊急事態宣言下の2021年4-6月も状況は厳しいものと予想されます。

極楽湯は減損損失で32億6,400万円の純損失を計上し、自己資本比率が29.7%から16.5%まで悪化した2020年3月期に、銀行との借入契約の財務制限条項に抵触していました。失期寸前のところまで追い込まれ、2020年7月にSMBC日興証券(千代田区)を割当先として新株予約権を発行しています。調達額は14億9,400万円でした。これによって24.0%の株式の希薄化が生じています。

痛みを伴いながら資金調達を行いましたが、再び窮地に立たされました。極楽湯は2021年3月期に再び借入契約の財務制限条項に抵触しており、金融機関と協議を継続中です。

返済の猶予は得られたとしても、債務超過に陥ることとなればより事態は深刻化します。エクイティファイナンスによる資金調達か、ワタミ<7522>が複数の金融機関から支援を受けたようなメザニンファイナンスによる大型の資金調達が急務な状況と考えられます。

文:麦とホップ@ビールを飲む理由

麦とホップ @ビールを飲む理由

しがないサラリーマンが30代で飲食店オーナーを目指しながら、日々精進するためのブログ「ビールを飲む理由」を書いています。サービス、飲食、フード、不動産にまつわる情報を書き込んでいます。飲食店、宿泊施設、民泊、結婚式場の経営者やオーナー、それを目指す人、サービス業に従事している人、就職を考えている人に有益な情報を届けるためのブログです。やがて、そうした人たちの交流の場になれば最高です。

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2020/03/26

極楽湯ホールディングスが2019年、2020年と立て続けにM&Aを実施し、国内店舗数の増加と運営体制の強化を進めている。一方、中国ではフランチャイズを中心に店舗数を増やし、事業規模の拡大に取り組んでいく計画だ。

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