変異株による感染リスクの高い場所はどこ?「東大」と「IBM」が解析システムを開発

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東京・箱崎の日本アイ・ビー・エム

東京大学医科学研究所附属ヒトゲノム解析センター(東京都港区)は、日本アイ・ビー・エム(東京都中央区)と共同で、新型コロナウイルスの変異状況のモニタリングとウイルスの感染経路同定に活用できるシステムを開発し、スーパーコンピューターSHIROKANEでの運用を始めた。

新型コロナウイルスのゲノム(全遺伝情報)データを用いて「どのような変異なのか」「いつどの国から流入したのか」「どのように感染拡大してきたのか」などを迅速に把握できるもので、変異株による感染リスクの高い場所や行動の推測などが可能になるという。

今後、東京オリンピック・パラリンピックによる人流に起因するウイルス伝播のモニタリングに活用し、新型コロナウイルスの感染拡大防止策の立案などにつなげていく計画だ。

170万人以上のゲノムデータと比較

今回のシステムは、世界中の170万人以上から採取した新型コロナウイルスのゲノムデータと、感染者から採取した新型コロナウイルスのゲノムデータを比較することで、患者のウイルスが、いつ国内に流入したのか、流入した後に、どの地域で報告があったのかなどを確認することができる。

ゲノム変異から見たウイルスの流入時期、経路の分析(ニュースリリースより)

同システムで2020年5月に関東で採取したウイルスを調べたところ、同ウイルスが関西、愛媛にも分布していたことが分かった。海外からの流入時期は、海外で登録がある2020年3月-4月ごろの可能性が高く、英国、アイスランド、米国などに分布していたことが明らかになった。

さらに同システムでは国内で新たな変異が発見された場合には、海外でこれまでに同様の報告があるのかを調べることも可能。変異での検索だけでなく、地域や時期などで検索をかけることで、変異の状況を簡便に知ることができる。

また公開されているゲノムデータは、国によって差があり、国内でも都道府県ごとに違いがあるため、各国が公開している新型コロナウイルスゲノムの登録数や変異株などを一目でモニタリングできるビューアー機能も備えた。

東京オリンピック・パラリンピックが開催された場合は、国内の人流や、海外から選手やスタッフらの入国が増加することが予想されるほか、ワクチン接種に伴う人流の増大も見込まれる。これらの動きに伴って海外からの新たな変異株の流入や、ワクチンの効かないタイプの出現などが懸念される。

同システムを活用することで、こうした不安を軽減することはできるだろうか。

文:M&A Online編集部

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