コロナ禍、名門ホテルの閉館・売却が相次ぐ

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6月30日に営業終了するホテルグランドパレス(東京・九段下)

新型コロナウイルス感染の影響が長期化する中、名門ホテルをめぐる閉館や売却の動きが相次いでいる。

6月30日の営業終了に向けてカウントダウンに入ったのが東京・九段下のホテルグランドパレスだ。開業50周年の節目を来年に控えながら、事業継続を断念した。阪急阪神ホールディングス(HD)は傘下の全49ホテルの1割以上にあたる6ホテルの営業を今年度から順次終了する。

一方、近鉄グループホールディングス、西武ホールディングスは資産効率を高めるため、所有するホテルを売却し、運営に専念する。

ホテルグランドパレス、営業終了へカウントダウン

ホテルグランドパレスは東京・丸の内にあるパレスホテル(現パレスホテル東京)の姉妹ホテルとして1972(昭和47)年に開業した。地上24階建て、客室数456室で、皇居周辺では高層ホテルのはしりだった。

同ホテルは昨年12月末に突如、今年6月末での営業休止を発表。その後、今年2月に「過去に類を見ない経営環境に陥っている」として、営業休止から営業終了に切り換え、事業継続を断念した。フィナーレを迎える6月は館内の全レストラン・バーで「シェフ特撰グルメフェア~The Final」を1日~29日に開催する。

ホテルグランドパレスの名前が一躍全国に広まったのが開業翌年に起きた「金大中事件」。宿泊していた韓国野党指導者の金大中(キム・デジュン、後に大統領)氏が誘拐された歴史的事件の現場になった。また、プロ野球ドラフト会議の会場としても知られ、プリンス系ホテルに移るまで1976年から88年まで13年連続で場所を提供した。

私鉄大手、ホテル事業の構造改革を急ぐ

阪急阪神HDが営業終了を決めた6ホテルは大阪新阪急ホテル、梅田OSホテル、千里阪急ホテル、第一ホテルアネックス、第一ホテル東京シーフォート、吉祥寺第一ホテル。

子会社を通じて全国49ホテルを運営しているが、競争力強化を目的に「宿泊主体型ホテル」と一部の厳選した「総合型ホテル」に経営資源を集中するのに伴い、不採算や収益悪化が懸念されるホテルの営業を終了する。第一ホテルアネックス、吉祥寺第一、梅田OSの3ホテルをまず2021年度末に営業終了する。

2021年度末に営業終了を予定する第一ホテルアネックス(東京・内幸町)

同じく私鉄大手では、近鉄グループHDが京都や神戸、福岡市などにある8ホテルを米投資ファンドのブラックストーン・グループに売却する。鉄道やホテルなど主力事業の構造改革の一環で、所有を基本とするアセット経営から、運営を主体とするノンアセット経営に大きくカジを切る。都ホテル京都八条、神戸北野ホテルなど売却対象の8ホテル計で客室数は2294室、帳簿価格は423億円。

西武HDも保有ホテルの売却について検討中だ。「ザ・プリンス パークタワー東京」など都心のホテルが中心となる見込みで、売却後の運営については子会社のプリンスホテルが担う。西武HDは2021年3月期決算で723億円の巨額最終赤字に陥っており、資産の有効活用による業績改善につなげる。

文:M&A Online編集部

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