ルノーのダイムラー株売却に日産とのアライアンス解消の「予兆」

alt

「そういえば、そういう話もあった」。2020年5月に明らかになった日産自動車<7201>と独ダイムラーとの資本提携解消は、もはや忘れられるほど存在感が小さかったようだ。しかし、この解消は日産にとって大きな意味がある。ダイムラーとではなく仏ルノーとの関係で、だ。

ルノーがダイムラー株を手放した「深刻な理由」

日産がダイムラー株を売却する前々月の2021年3月に、ルノーがダイムラー株を売却している。日産はルノーの傘下にあり、歩調を合わせて資本提携を解消するのは当たり前の話に聞こえるが、実は話はそう単純ではない。

両社がダイムラー株を売却したのは、協業で成果が上がらず資本提携のメリットがなくなったからとされている。確かに日産とダイムラーの関係では、それが当てはまる。だが、ルノーとダイムラーとの関係では共同プロジェクトも多く、それなりの成果があった。

もちろん、ルノーとダイムラーの間で狙いの齟齬(そご)があったのも事実だが、ルノーが「ダイムラーとの事業提携は資本関係がなくなっても続行する」と発表しているように、「望んで別れた」わけではない。

ルノーが選択したのは「資本提携」のみ。要はダイムラー株を売却したかっただけなのだ。その理由は同社の業績にある。ルノーの2020年12月期決算の最終損益は80億800万ユーロ(約1兆600億円)の赤字と、2000年以降では過去最悪の業績に沈んだ。

ルノーは保有していたダイムラー株1.54%を売却した約12億ユーロ(約1580億円)で財務の健全化を図る。が、2021年12月期も新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の変異株の登場による経済活動の停滞が予想され、業績低迷を覚悟しなくてはならない。

そこで問題になるのが日産の存在だ。前期の最終赤字のうち、日産の連結損失は約6割の49億700万ユーロ(約6500億円)を占める。ルノー本体の営業赤字19億9900万ユーロ(約2640億円)の約2.5倍の規模だ。

NEXT STORY

解消されたルノー・日産・ダイムラー3社提携の「中身と確執」

解消されたルノー・日産・ダイムラー3社提携の「中身と確執」

2021/05/06

日産自動車が独ダイムラーの持ち株約1.5%の全てを売却する。売却額は約10億ユーロ(約1300億円)の見込み。親会社の仏ルノーも保有するダイムラー株を全て売却しており、日産の売却も時間の問題とみられていた。3社提携とはどんなものだったのか?