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「私的整理」に追い込まれた曙ブレーキ工業って、どんな会社?

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ボッシュからの事業買収でつまずく

この買収が裏目に出た。ボッシュから譲り受けたブレーキ事業の採算性は低く、北米に大きく依存する曙ブレーキ工業の足を引っ張った。さらにリーマン・ショックの影響で米国の自動車生産が低迷。あわてて生産能力を縮小するも、皮肉なことに米国の自動車販売が景気回復を受けて急増し、ブレーキ生産が間に合わない状況に。

度重なる残業や休日出勤による人件費増や、納期遅れ回避のための航空輸送による輸送費高騰などで生産コストは上昇。繁忙にもかかわらず、利益が出ないという異常事態に陥った。

過剰な増産により品質も劣化し、2015年6月にはGMに納入したブレーキ製品で不具合があったと発表。GMが約1万5000台のリコール(回収・無償修理)を届け出た。こうした生産の混乱が、連結売上高の28%を占めるGMからの失注を招き、1000億円を超える有利子負債返済のめどがつかなくなった。

曙ブレーキ工業の主要販売先と売上比率(同社ホームページより)

帝国データバンクによると、曙ブレーキ工業の取引先は一次下請が282社、二次下請が2500社で合計2782社にのぼる。非正規社員を除く従業員数だけでも取引先の16万5119人が影響を受ける可能性があるという。

主力製品のブレーキパッドは、世界シェア約21%、国内シェア約46%と存在感が大きく、GMのほかトヨタ自動車<7203>や日産自動車<7201>ほか多数の自動車メーカーと取引がある。

そのため私的整理とはいえ、2017年6月に民事再生法の適用を申請したエアバック大手のタカタ同様、買収または経営支援を受けて事業継続する可能性が高い。

タカタは中国・寧波均勝電子の子会社で自動車用安全部品を手がける米キー・セイフティー・システムズ(現・ジョイソン・セイフティ・システムズ)に買収された。曙ブレーキ工業も中国をはじめとする外国資本に買収されるのか、それとも国内自動車メーカーの経営支援によって日系自動車部品メーカーとして生き残るのだろうか。少なくとも現時点で、曙ブレーキ工業支援に手を挙げている国内企業はいない。

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