"戌(いぬ)年”の法人は全国で17万155社

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公開日付:2017.11.24

 2018年の干支は戌(いぬ)。全国の法人270万社のうち、戌年の設立法人は17万155社あることがわかった。十二支のうち、戌年の法人構成比は6.2%と最も少なかった。
 戌年で最も古い設立年は1886年(明治19年)。同年6月設立の外装・床タイル製造の陶榮(愛知県)と、12月設立の琵琶湖遊覧などを手掛ける琵琶湖汽船(滋賀県)の2社あった。
 都道府県別の社数は、最多が東京都の3万6,341社(構成比21.3%)だった。設立年別は2006年が8万3,640社(同49.1%)とほぼ半数を占めた。また、月別では年度始めの4月が2万2,200社(同13.0%)。産業別ではサービス業他が5万2,207社(同30.6%)で、それぞれ最多だった。
 売上高(単体)は、トップが2006年9月設立のかんぽ生命保険。次いで、国家公務員共済組合連合会、ゆうちょ銀行がトップ3。売上高1兆円以上は7社だった。

※本調査は、東京商工リサーチの企業データベースから個人企業や倒産、休廃業・解散した企業などを除いた270万2,330社から戌年に設立された法人を対象に抽出した。

 戌年は、1946年に経済三団体である経済同友会と経済団体連合会が創立、日本商工会議所が設立された。また、1958年に日清食品が世界初のインスタントラーメン「チキンラーメン」を発売、日本電波塔(東京タワー)が竣工した。戌年は経済界の礎が築かれ、国民生活の発展につながる出来事が相次いだ。

主な戌年法人

 戌年設立の法人で、最も設立が古いのは1886年6月の陶榮(愛知県)。次いで、同年12月の琵琶湖汽船(滋賀県)、1898年1月の日本ペイントホールディングス(大阪府、純粋持株会社)、1898年2月の仙台共同と一般社団法人牛渕報徳社が続く。主な上場企業は、三菱製紙(設立1898年)、森永製菓(同1910年)、富士フィルムホールディングス(同1934年)、NIPPO(同1934年)、ソニー、カシオ計算機、京セラ(同1946年)、吉野家ホールディングス(同1958年)、三菱自動車工業(同1970年)、日本郵政(同2006年)など275社。戌年に設立された上場企業は十二支では巳年(274社)に次ぎ、5番目に少ない。

設立年別 最古は1886年設立

 設立年別では、2006年が8万3,640社(構成比49.1%)で、約5割を占めた。次いで、1994年の3万1,333社(同18.4%)、1982年の2万3,553社(同13.8%)と続く。
 戌年設立の法人のうち、設立30年未満は11万4,973社と全体の6割(同67.5%)を占めた。一方、100年以上前に設立された法人は83社(同0.04%)にとどまった。

産業別 サービス業他が最多

 産業別では、最多はサービス業他の5万2,207社(構成比30.6%)。以下、 1万社以上は建設業3万1,868社(同18.7%)、製造業1万9,330社(同11.36%)、小売業1万9,264社(同11.32%)、卸売業1万5,399社(同9.0%)、不動産業1万4,237社(同8.3%)の6産業。最少は金融・保険業の2,783社(同1.6%)。
 小分類の業種別では、6位の医療,福祉事業が8,249社のうち、1994年設立が2,232社(構成比27.0%)、2006年設立が4,740社(同57.4%)と、平成設立の法人が8割(同84.5%)を占めた。

地区別 関東が最多、最少は北陸

 地区別では、最多が関東の7万3,582社(構成比43.2%)で、このうち東京が約5割(49.3%)を占めた。次いで、近畿2万4,280社(同14.2%)、中部2万44社(同11.7%)、九州1万7,513社(同10.2%)の順で、1万社以上はこの4地区だった。一方、最少は北陸の3,926社(同2.3%)。

 都道府県別では、東京都が3万6,341社(構成比21.3%)で、近畿全体(2府4県)の約1.5倍と突出して多い。次いで、大阪府1万2,754社(同7.4%)、神奈川県1万1,945社(同7.0%)、愛知県9,657社(同5.6%)、埼玉県8,225社(同4.8%)と続く。
 一方、最少は鳥取県の627社(同0.3%)。次いで、佐賀県820社(同0.48%)、和歌山県849社(同0.49%)の順。

 戌年設立の法人は全国で17万155社だった。最古の1886年(明治19年)は2社にとどまり、震災、戦争など幾多の災害を乗り越え、業歴を積み重ねる困難さを示している。
 2006年の戌年は8万3,640社で、全体の約5割(構成比49.1%)を占めた。政府は、2013年6月に閣議決定した日本再興戦略で開業率を欧米並みの10%台に引き上げることを目標に打ち出した。金融庁も、将来性が見込まれる企業を支援する「事業性評価」を前面に出し、これまで財務内容を中心とした企業評価を大幅に変更。金融機関の目利き力で、事業再生や地域の核となる企業を育成、活性化する方向に舵を切っている。
 上場企業は業績の上方修正が相次ぎ、輸出産業を中心に業績改善が鮮明になっている。また、2020年開催の東京五輪・パラリンピックに向け、建設業界などでは活況が期待されている。
 2018年は「戊戌(つちのえいぬ)」。「戊」には植物の成長が絶頂期という意味があり、株式相場では「戌笑う」という格言もある。大手企業から中小企業まで景気拡大の恩恵が波及し、これまで培ってきた技術や信用を背景に事業を拡大できるか。2018年の戌年は、日本経済の将来を分ける分岐点になるかもしれない。

東京商工リサーチ データを読む より

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