どうやって販社オーナーを「納得」させるのか

トヨタは、販売チャンネルを事実上一本化する2025年に、国内販売モデルを現在の半分となる30車種前後に削減する方針。現行車種では、近くアッパーミドルセダンの「マークX」が生産中止になるのではないかと囁かれている。

日本市場で販売が伸び悩んでいるセダンなどが車種削減の対象に(同社ホームページより)

全販売店で同じモデルを販売するとなると、同一地域にあるトヨタ販社間での価格競争が激しくなる。メーカー直営店ならば販売価格をコントロールできるが、地元資本で独立企業のトヨタ系販社では難しい。最悪の場合は、トヨタ販社同士の「安売り合戦」による共倒れになりかねない。

トヨタは販社の経営が厳しくなるのを見越して、短時間でも自動車を借りられるカーシェアリングに参入するなど、次の「食い扶持」の手当てにも乗り出す。しかし、現在のところカーシェアリングは公共交通機関が発達している都市部でしか需要はない。

理由は簡単。都市部以外では公共交通機関が充実していないため自動車が日常的に必要であり、借りたい時に空いていなければ生活に困るからだ。さらにカーシェアリングで自動車を借りたり返したりするステーションも、ユーザーの徒歩圏内に配置する必要がある。

車両とステーションを相当数配置しないと、地方では利用者を増やせない。人口の少ない地方では、かなりのコスト高となる。販社がカーシェアリングの経営主体になると、大都市圏で稼いだ利益で他地域の赤字を補填するのも無理。トヨタが提案する「食い扶持」では、地方の販社が生き残るのは難しいのだ。新たな「食い扶持」が見つからないとなれば、販社を再編して地域1社体制へ移行するしかない。

が、各販社を経営する地元企業のトップたちが「うん」と言わない限り、再編は進まない。トヨタのこれからの課題は、終戦直後の1946年からトヨタ車販売に当たってきた販社オーナーの説得だ。彼らを納得させるような好条件を出すか、国内販売の激減やトヨタの大幅赤字といった環境の激変がない限り、簡単にはいかないだろう。