再建中のパイオニア<6773>が香港投資ファンドのベアリング・プライベート・エクイティ・アジアから経営支援を受けることになった。ベアリングを割当先とする第三者割当増資を実施し、総額500億~600億円を調達する。この結果、ベアリングはパイオニアの筆頭株主となる見通しだ。パイオニアはベアリング傘下で経営立て直しを進めることになるが、両社には4年前、ちょっとした関係破談の「過去」があった。

4年前に急接近したが、3カ月で白紙に

スケジュールによると、第三者割当増資に関する契約を10月までに結び、12月中にベアリングは払い込みを完了する。第三者割当増資は最大600億円をめどとしている。パイオニアの時価総額は約400億円(9月13日時点)であることから、発行済み株式の過半を上回り、ベアリングが経営権を掌握することが確実だ。「当面の間、株式上場を維持するものとする」(パイオニア)とし、社名やブランドも現状を維持する。

パイオニア本社が入るビル(東京・千石)

増資に先立ち、ベアリングは9月18日に250億円を融資する。パイオニアは9月下旬に借入金133億円の返済期限が迫っており、これに充当する。ただ、融資分については第三者割当増資で得た資金から返済することになっている。

以上が今回の主な合意事項だが、実は以前、両社が急接近したことがある。4年前のことだ。2014年6月、パイオニアは苦戦中のAV(音響・映像)事業の大部分を、同業のオンキヨー<6628>と香港投資ファンドのベアリングに売却することで基本合意した。しかし、この合意が3カ月で白紙に戻ったのだ。

この前年、パイオニアはミニコンポやDVD、ホームシアターなどのAV事業を分社化。そのうえで売却先を探していた。名乗りを上げたベアリングはこのAV子会社に51%を出資することでいったん合意した。ところが最終的に条件が折り合わず、ベアリングは手を引いた経緯がある。パイオニアのAV事業の行方はというと、結局、オンキョーに譲渡され、オンキョー&パイオニア(東京都墨田区)が翌2015年3月に発足した。

米KKRにDJ機器事業を売却

AV事業を分社化した際も本体に残していたDJ(ディスクジョッキー)機器事業については、米投資ファンドのコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)に約590億円で売却した。ダンス音楽などに使うDJ機器は世界シェアトップで、AV事業の稼ぎ頭だった。今回の局面で、パイオニアのスポンサー企業候補として一時、自動車部品大手のカルソニックカンセイの名前が浮上したのも同社の親会社がKKRということに関係している。

因果が巡って、今度はパイオニア本体が4年前に物別れに終わった相手、ベアリングの傘下に入ることになった。ベアリングはどんな会社なのか。