武田薬品工業<4502>が、大阪・道修町の本社ビルを売却することが分かった。数日前の7月2日には東京・日本橋本町の武田グローバル本社が本格稼働しており、大阪離れが鮮明になった。

次回の株主総会は東京?

売却するのは御堂筋に面した武田御堂筋ビル。屋上やビル壁面には武田薬品の本社ビルであることを示す表示はなく、武田薬品のビルであることを示しているのは入り口のドアにある「武田御堂筋ビル」の文字のみ。

本社所在地はこのビルであることから、2018年6月28日に大阪府立体育会館(大阪市浪速区)で株主総会を開催し、大阪発祥の企業であることを感じさせていたが、今回の売却で東京のグローバル本社を拠点とした企業活動が一気に加速しそうだ。

借入金の圧縮が狙い

武田薬品の歴史は長兵衛が大阪・道修町で薬種商「近江屋」を開いた1781年にまでさかのぼる。当主は数代前まで長兵衛を名乗ってきた。現社長のクリストフ・ウェバー氏は九代目に当たる。

武田薬品が628日に公表した取締役のメンバーは社内取締役3人のうち2人が外国人で日本人は1人。また事業を推進するタケダ・エグゼクティブチームのメンバーは14人中11人が外国人で、日本人は3人という体制。創業の地である大阪・道修町に愛着を感じる体制ではない。

クリストフ・ウェーバー社長はグローバル本社について「日本で生まれ世界へ拡がる武田の揺るぎない企業アイデンティティーと価値観を次世代へと継承する象徴。約3万人の従業員がイノベーション創出に取り組む拠点となる」とし、今後このグルーバル本社が武田の企業活動の中心となることを明言した。

売却するのは「武田御堂筋ビル」と周辺にある複数のビルで、売却額は600億円規模になる見込み。武田薬品はアイルランドの大手製薬会社シャイアーの買収に伴い、3兆円ほどを借り入れる計画を明らかにしており、大阪本社ビルの売却によって、財務内容の悪化を防ぐ狙いがあるものとみられる。

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文:M&A Online編集部