日本電産<6594>の減速機事業でアジア、米国、欧州の3極体制が整うことになった。これまではアジアと米国が商圏だったが、ドイツの減速機メーカーMSグレスターを完全子会社化したことで、3極体制が実現した。 

日本電産は電気自動車の駆動用モーター事業や、電動ブレーキや電動パワステ用の車載モーター事業、インバーターエアコン用のモーター事業と並んで減速機事業を成長の柱と位置付けている。 

減速機事業では小型協同ロボット用の減速機の生産能力を2020年3月期までに2017年3月期比40倍に高める計画に取り組んでおり、今回のドイツ企業の買収によって計画の現実味が高まることになる。

ドイツ社の買収で4工場体制に

MSグレスターの買収は日本電産の子会社である減速機メーカーの日本電産シンポのドイツ現地法人を介して実現した。 

MSグレスターは1955年の設立で、ドイツ・デッテンハウゼンに本社を置く。入力軸に対し出力軸が直角方向にある直交型の精密減速機を得意としており、ドイツを中心に欧州各国に商圏を持つ。 

2017年12月期の業績は売上高が約27億円、営業利益が約3億円。2018年1月時点の従業員数は166人。 

日本電産シンポは入力軸と出力軸が同一方向である同芯軸型の減速機を得意としており、MSグレスターの買収により両タイプの減速機を品ぞろえできることになる。 

現在、日本電産シンポの減速機生産拠点は長岡京工場、上田工場、フィリピン工場の3カ所で、これにドイツ工場が加わり4拠点体制となる。 

買収後はMSグレスターの欧州での販売網を活用し、同芯軸型の減速機の販売を強化するとともに、ロボット用の減速機をMSグレスターのドイツ工場で生産し、欧州での販売、サービス体制を整える。 

他方、日本電産シンポのアジア、米国での販売、サービス網を活用して、MSグレスターの直交型の精密減速機の販売にも力を入れる。 

新規のM&Aに5000億円

日本電産は1984年に米国のトリン社の軸流ファン部門を買収したのを皮切りにM&Aを繰り返し、今回のMSグレスターのM&Aが60社目になる。2020年3月期に売上高2兆円を目指す中期戦略に取り組んでおり、同中期戦略の中で新規のM&Aに5000億円を投じる計画を進めている。

文:M&A Online編集部