2018年3月30日、仏ルノーと日産自動車<7201>合併に向かって本格的に動き始めたと一斉に報道された。ルノー筆頭株主であるフランス政府の強い意向もあって、両社の経営統合は「既定路線」とされていたが、実現にはさまざまな問題がある。Q&A形式で今後予想される合併の問題点について検証してみよう。

「フランスの国益ありき」で進む合併工作

Q 合併後の形態はどうなる

ルノーを持ち株会社に事業会社としての日産とルノーがぶら下がる形か、完全合併で日産を飲み込んで「ルノー日本支社」にするかのいずれかだ。どちらの可能性もあるが、日本側の反発が強ければ、持株会社の傘下に日産を置いて社名を残す前者の方法を選択するだろう。これならば現在の経営体制に近い。

Q 新本社はどちらの国に置かれるか

A フランスだろう。合併で主導権を持つフランス政府やルノーにとって、日本に本社を置く必然性がない。

日産グローバル本社は「ルノー日本支社」になる?

Q ルノーのカルロス・ゴーンCEOは日産との合併に慎重なのに、なぜ仏政府が前向きなのか

A エマニュエル・マクロン仏大統領が今回の合併で狙っているのは、ルノーよりも巨大な自動車メーカーである日産による対仏投資だ。ルノーと合併した日産をコントロールし、新工場をフランス国内に建設させれば、雇用や税収の増加でフランス政府が潤う。

Q 日産にとって新規の対仏投資にメリットはあるのか

A 現時点ではほとんどない。日産にとってフランスはグローバル戦略上それほど重要ではなく、ルノーが生産拠点を置くフランスに工場を新設することは、「二重投資」というムダを生む。フランスで日産車を増産するにしても、ルノーの本国工場で作ればいいだけの話だ。しかし、それでは既存工場の稼働率が上がるだけで、フランス政府にとって大きな魅力にならない。

Q 日産側の反応はどうか

A 倒産寸前だった1999年当時は「救世主」としてルノーの資本参加を歓迎したが、現在では合併を望んでいる社員はまずいない。マクロン大統領は経済・産業・デジタル相時代に「日産を救った際にルノーは財務、業務面でリスクを取った」と主張しており、ルノーによる日産の合併を「当然の権利」と考えている。一方の日産はルノー傘下入りから19年が経過し、その間の巨額の配当やルノーの連結利益増への貢献などで「借りは返した」というのが本音だ。フランス政府の強硬な姿勢は、日産社内に「合併したら、米国や中国などの成長市場をルノーに取り上げられてしまうのではないか」との疑念を生んでおり、それがますます合併を忌避させる要因になっている。

Q 実際にそのようなことは起こり得るのか

A フランス政府は「企業の経済合理性」よりも「自国の国益」を優先する。フランスにとって有利と判断すれば、日産から有望な市場を取り上げることに躊躇はしないだろう。