前会長を事実上解任した積水ハウスが4月26日に開く定時株主総会に向けて新たな役員体制を発表した。約56億円の巨額損失が発生した東京都内での土地取引詐欺事件の責任の所在をめぐる前会長と前社長(現会長)の対立が内紛の発端だが、今回の役員人事では解任の舞台となった1月の取締役会で前会長を支持した副社長と常勤監査役がそろって退任する。“粛清”色も濃く、火種はくすぶったままだ。戸建て住宅最大手で、CMソング「積水ハウスの歌」で茶の間にもおなじみの会社だが、改めてそのルーツや歴史をひも解いてみるとー。

本業好調も  詐欺事件の関与めぐり内紛引き起こす

積水ハウスは1月24日、10年ぶりの社長交代を発表した。阿部俊則社長(66)が会長に就き、仲井嘉浩取締役常務執行役員(52)が社長に昇格し、和田勇会長(76)が取締役相談役に退くという内容(いずれも2月1日付)で、「世代交代により事業の継続的な成長を図る」と円満なバトンタッチを印象づけるものだった。ところが、その後、前会長と前社長との間で解任動議の応酬があった内紛劇だったことが表面化した。

会長の和田氏が土地取引詐欺事件について「責任を明確にすべきだ」として、社長だった阿部氏の解任動議を提案したが、採決の結果、否決された。この直後、今度は阿部氏が「新たなガバナンス体制を構築すべき」として和田氏の解任動議を逆提案。劣勢と判断した和田氏は自ら辞任の意思を表明し、採決は行われなかった。これが一連の大まかな経緯だ。

積水ハウスの2018年1月期の連結決算は売上高が6.5%増の2兆1593億円、当期純利益も土地取引詐欺事件による特別損失を計上したものの9.3%増の1332億円。海外住宅事業の好調などを背景に過去最高の業績を達成し、本業はいたって順調に推移している。

土地取引詐欺事件の舞台となった…(東京・五反田)