世界中の人々が安心して生水を飲めるようにしたい―。

納豆のネバネバ成分で水の浄化事業に取り組む日本ポリグル(大阪市)の小田兼利会長の名刺にはこの文章が印刷されている。世界中の途上国に自ら足を運び、現地で給水場(浄水装置)の建設や技術指導などを行ってきた。「給水場の周りに店舗や住宅ができ、まるでオアシスのようだ」と語る小田会長にこれからのビジネス展開について聞いた。

月に2ドルで一世帯分の飲み水を供給

―どのような国に給水場を設置されてきたのですか。

 ソマリア、バングラデシュ、タンザニア、南スーダン、シエラレオネ、ブラジル、インド、インドネシアなど世界80カ国に設備がある。こうした国では、近くで銃弾の音がすることがあり、軍隊に助けてもらったこともあった。わが社が所有している設備は一つもなく、ほとんどがその国の自治体や集落が所有している。

浄化された水を汲む女性(タンザニア)

―設備はどのようなものですか。

標準的なタイプは川の水を処理する2トンタンク3基と、濾過のための2トンタンク1基、さらに塩素を加える給水用の10トンタンク2基の構成。川の水をポンプでくみ上げ、納豆菌から開発した水質浄化剤を入れてかき混ぜ、汚れを凝集、ある程度沈殿させたうえで、濾過用の2トンタンクに移し、最後に給水用のタンクで塩素を投入するという流れ。大量の水を供給するためには水質浄化剤の凝集速度が重要で、ポリグルの水質浄化剤は、添加・攪拌後15分ほどで沈殿する。このため、この規模の施設でも3000世帯に安全な水を供給できる。水質は日本の水道水レベルにある。

―設備の建設費や処理のための費用はどのくらいかかるのですか。 

標準的な設備はおよそ2万ドルといっている。ただ傾斜地などを利用して作れば工事費が安くなるため半分以下の金額で設置できることもある。処理に必要な水質浄化剤は世界中どこでも100グラム1ドルで届けている。100グラムの浄化剤で1000リットルの水が処理できる。給水場の運営者は、600リットルを2ドルで販売、一般的な家庭で1日20リットルほど使うので、ひと月分の水代になる。水処理作業をするための人員が10人程、水を買う人から集金をしたり、水を買う人を増やしたりする仕事があり、こうした費用を賄っている。