日本ペイントホールディングス(HD)<4621>に緊急事態が発生した。筆頭株主でシンガポールの塗料大手、ウットラムグループから取締役6人の選任を求める株主提案を突き付けられたことが明らかになった。実はウットラムは50年を超える長年の合弁パートナー。提案を受け入れれば、ウットラムが日本ペイントHDの取締役の過半数を占めることになる。日本ペイントは反発するとみられ、対立が深まれば、3月の定時株主総会に向けて委任状争奪戦に発展する可能性もある。

“無理筋”に見える要求だが…

 日本ペイントHDの取締役は現在7人で、このうちの1人がウットラムグループを率いるゴー・ハップジン代表。19日付で受領した今回の株主提案はゴー氏のほかに新たに5人の取締役を送り込む内容。定款上、取締役は10人までと定められているが、上限まで取締役を増やした場合、ウットラム側が6人と事実上、取締役会を制することになる。

 “無理筋”に映る提案だが、ウットラムの真意は何か。報道によると、「株主価値の最大化が目的」と伝えられる。これに対し、長年緊密な関係を築いてきた日本ペイントHDにとって今回の株主提案は戸惑い以外の何ものでもないはず。日本ペイントHDは提案について、「慎重に議論し、取締役会としての意見を形成する」としており、当面、取締役会の議論の行方が注目される。

ウットラムと半世紀を超える協力関係

 ウットラムとの関係は1962(昭和37)年にさかのぼる。シンガポールに設立した合弁会社を拠点にアジアでの事業を共同展開し、中国、マレーシア、シンガポールの住宅内装用塗料分野でトップシェアを持つ。

 2014年には、日本ペイントHDがウットラムとの合弁会社の持ち株比率を引き上げて連結子会社化した。一方、この年、ウットラムは日本ペイントHDの持ち株比率を従来の14.51%から38.99%に引き上げるとともに、ウットラム代表のゴー・ハップジン氏が日本ペイントHD取締役に加わり、現在にいたっている。半世紀以上にわたり良好な関係を保ってきた両社だが、思わぬ形で溝が表面化した格好だ。

 ちなみに、発行済み株式の3分の1以上を保有する場合、合併営業権の譲渡、取締役・監査役の解任、定款変更などに関する特別決議の成立を単独で阻止できる。