3大ニュースで読み解く2020年外食産業M&A総まとめ

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ロードサイド店で昨対120%となった焼肉きんぐ

焼肉きんぐ
売上が前年比120%と絶好調の「焼肉きんぐ」

焼肉店に人気が集中しているのが、新型コロナウイルスの特徴の一つです。会社の宴会がなくなり、家族で過ごす時間が多くなりました。子供も喜ぶ焼肉店に人気が集まっています。日本フードサービス協会の調査によると、2020年11月の焼肉業態の月次売上は前年比109.4%。全業態が92.2%と前年割れする中で絶好調です。居酒屋は58.8%、パブ・ビアホールは49.4%と苦境にあえいでいます。

焼肉店は特にロードサイドの食べ放題系店舗に人気が集中しています。物語コーポレーション<3097>が展開する「焼肉きんぐ」の11月の売上は前年比120.4%となりました。在宅勤務が広がり、休日に都市部などへ出かけることが控えられ、郊外型の店舗が活況を呈しているのです。

しゃぶしゃぶチェーンの木曽路が11月27日にロードサイド系の焼肉店を展開する大将軍を買収しました。木曽路初のM&Aです。大将軍は2016年に投資ファンド「刈田・アンド・カンパニー (港区)」が買収しており、ファンドのエグジット案件となります。大将軍は3期連続で純損失を計上しており、業績は低迷中。それでも木曽路が子会社化へと踏み切った理由は、しゃぶしゃぶ一極集中状態の業態を広げるためです。

焼肉業態は競争が激化しています。ワタミ<7522>は居酒屋「和民」を「焼肉の和民」へと業態転換しています。都市部を中心に120店舗の転換を計画中。特急レーンを活用した非接触、省人化に取り組む新常態に相応しい店舗です。焼肉店は排煙装置などの多額の転換費用が必要になります。ワタミは劣後ローンで30億円を調達し、一息に転換を進めます。

「焼肉の和民」はカウンター席を残して、お一人様の需要も取り込んでいます。焼肉を日常食に寄せるのも新潮流の一つです。一人焼肉の焼肉ライク(渋谷区)が出店を重ねています。2月には新潟、3月には福岡に初出店。6月には守屋サービスエリアにも出店しました。1月に香港の外食企業マキシムグループとフランチャイズ契約を締結し、ベトナムやタイ、香港での出店が決定しました。

焼肉ライクの競合は牛丼店などのファーストフードです。新たな市場を開拓して快進撃を続けています。2021年は競争が激化する焼肉業態に注目です。

運転資金が尽きる飲食店が急増

寿司
画像はイメージ(Photo by PAKUTASO)

寿し常グループを約40店舗運営していた豊田(豊島区)が7月に破産しました。負債総額はグループ会社も含めて45億6,900万円。主力店舗が、ショッピングモールの臨時休業の影響で資金繰りが悪化しました。破産前の6月に「とらふぐ亭」などを運営する東京一番フーズが寿し常事業を譲受。一部店舗と従業員を承継しました。

業績の悪化によって閉店する飲食店は今後も加速するものと予想できます。飲食店の多くは、政府からの補助金や給付金、休業協力金によって何とか持ちこたえているのが実情です。支援金が尽きると、キャッシュフローは急速に悪化すると考えられます。非上場企業で債務超過に転落した企業が自力で持ちこたえるのは至難の業。現在は中小規模の飲食店の倒産が目立ちますが、12月の繁忙期の売上を取り損ねてジリ貧状態となる企業も見え隠れしています。

昭和食堂を運営する海帆<3133>は、2021年3月期第2四半期で8億5,700万円の債務超過となりました。11月にジャパンルネッサンス投資事業組合を割当先とした新株予約権を発行。希薄化は192.9%、行使価額は80円で増資前の455円に対して82.4%ものディスカウントを伴うものとなりました。

山小屋ラーメンのワイエスフード<3358>は4期連続の営業利益・営業キャッシュフローのマイナスにより、上場廃止猶予期間入りしています。もともと業績が低調だった企業は、新型コロナウイルスの感染拡大で大打撃を受けています。資金力のある会社が第三者割当増資を引き受けたり、事業を譲受するなど、再編は加速するものと予想されます。

■2020年外食の主なM&A

M&Aの内容 売り手 買い手 実行日
グルメ杵屋がラーメン店運営の雪村をグループ会社化 高野勉氏(雪村代表) グルメ杵屋 4月20日
トリドールホールディングスが「Ghost Kitchens」に出資 - トリドールホールディングス 5月25日
貝印が発酵惣菜の「Kouji & ko」のフードアンドパートナーズの全株式を取得 高島屋 貝印 5月29日
東京一番フーズが「寿し常」の事業を取得 豊田 東京一番フーズ 6月1日
「業務スーパー」の神戸物産が外食子会社クックイノベンチャーを売却 神戸物産 クックイノベンチャー、杉本英雄氏(クックイノベンチャー創業者) 6月30日
麦茶販売の石垣食品がエムアンドオペレーションを売却 石垣食品 櫻井寛氏(エムアンドオペレーション創業者) 7月31日
アミュゼホールディングスが「BBQ PARADISE M2」を事業譲渡 アミュゼホールディングス ブランシェ・エムズ 8月1日
ペッパーフードサービスがペッパーランチ事業を売却 ペッパーフードサービス J-STAR 8月31日
カンカクがコーヒー豆のオンラインショップ運営のCotteaを事業買収 余裕 カンカク 9月7日
コロワイドの大戸屋ホールディングスに対するTOBが成立 - コロワイド 9月9日
洋菓子店「HIROTA」の21LADYがトリアノン洋菓子店を買収 安西健太郎氏(トリアノン代表) 21LADY 9月30日
ダスキンがデリバリーピザ「ナポリの窯」を事業譲受 いちごホールディングス ダスキン 11月1日
木曽路が焼肉店展開の大将軍を子会社化 刈田・DSG投資事業有限責任組合ほか 木曽路 11月27日

麦とホップ@ビールを飲む理由

麦とホップ @ビールを飲む理由

しがないサラリーマンが30代で飲食店オーナーを目指しながら、日々精進するためのブログ「ビールを飲む理由」を書いています。サービス、飲食、フード、不動産にまつわる情報を書き込んでいます。飲食店、宿泊施設、民泊、結婚式場の経営者やオーナー、それを目指す人、サービス業に従事している人、就職を考えている人に有益な情報を届けるためのブログです。やがて、そうした人たちの交流の場になれば最高です。

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