海外メディアも注目する 東芝半導体メモリ事業 売却の混迷

米原発事業の巨額損失を明らかにした東芝<6502>。2期連続の債務超過による上場廃止を免れるため、稼ぎ頭の半導体メモリー部門売却を発表した。

東芝は、9月13日の取締役会で日米韓連合に売却する決断をするとみられていた。同日、東芝は、改めて日米韓連合と9月中の契約締結に向けて交渉を本格化する旨の覚書を結んだと発表したが、米ウエスタンデジタル(WD)は強く反発しており、売却に向けて混迷している。

英米メディアはどう報じたか

東芝の混迷については、英フィナンシャル・タイムズや米ニューヨークタイムズなど海外のメディアも注目しており、紙面を割いて報道している。

・英フィナンシャル・タイムズ(FT)

英フィナンシャル・タイムズ紙の9月13日付けの記事Toshiba to speed up talks with Bain-led group on $20bn chip sale(東芝はベイングループへ200億ドルの半導体売却交渉を急ぐ)」によると、要旨は次のとおり(注:事実経過分は除く)。 

「ベイン連合は、アップル、ハイニックス、匿名の日本テクノロジー会社などを含んでおり、東芝の主力銀行から6000億円を借り入れることと、東芝自身が出資することの2点で同意している。一見、覚書は拘束力がなく、2ヶ月前の状況に逆戻りしただけとも思われる。だが新提案においては、以前WDの法的攻勢の前に怯んだ産業革新機構と日本政策投資銀行は、WDとの法的紛争が解決したときに参入することになっている。WDは新生産設備や研究施設への参加を求めており、異議は結局消滅していくはずとのこと。したがって、かつての行き詰まりはなくなったと関係者は言う。
 このところ、WDは新しい手法で交渉を進めている。しかし専門家は、東芝とWDの交渉はとても困難で、ひどく“非現実的な提案”を投げ合うものと見ている。東芝は、45億ドルの損失を埋め、東京市場の上場廃止をさけるため、主力銀行から早急に交渉をまとめるよう急かされている。」

・米ニューヨークタイムズ

また、米ニューヨークタイムズ紙の9月13日付けの記事Toshiba Says It Favors Bain Group’s Bid for Microchip Business(東芝はベイングループの応札に好意的)」によると、要旨は以下のとおりだ。

「WDの法的措置は東芝を日米韓連合から後退させ、他の有力な応募者との交渉を再開させた。鴻海(ホンハイ)精密工業を軸とするホンハイ連合は、“強引に”参入。しかしその中国本土での巨大な支配力は、日本側に、“最終的に企業そのものを中国本土に移されてしまうとの恐怖”を与えた。落札者には、半導体事業を育て、また東芝を資産価値あるものに変えるだけの十分な資金を提供してもらわねばならないと、東芝の副社長はいう。他方、WDは、東芝を裁判所で押さえ込むと示唆し、WDには共同事業を守る能力と同意権があると主張している。」

なお、ロイター通信は「ベインキャピタルは、9月15日、アップルのほか、デル、キングストン・テクノロジー、シーゲート・テクノロジーも、東芝支援に参加すると述べた。また、WDの東芝との提携契約を尊重する(9月15日版)」と報じた。