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海外メディアも注目する 東芝半導体メモリ事業 売却の混迷

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もつれる売却交渉

東芝の半導体メモリー事業売却に向けた一連の流れはこうだ。

年月 概要
2015年2月 東芝の不正会計が発覚
     7月 歴代社長らが引責辞任
2016年6月  新経営体制の発足
2016年12月~2017年1月 半導体メモリー部門を分社化
2017年2月 新会社株式の過半数を売却すると表明
     3月 一次入札を締め切り(29日)
     4月 分社した「東芝メモリ」を発足(1日)
     5月 二次入札締め切り(19日)
     6月 日米韓連合※を優先交渉先にすると発表(21日)
     9月 日米韓連合と9月中の契約締結に向けて交渉を本格化する旨の覚書締結を発表 (13日)

※日米韓連合は、米投資ファンドのベインキャピタル、韓SKハイニックス、産業革新機構、日本政策投資銀行などから構成される。

(出典)東京新聞 9月13日付

半導体事業で東芝と提携契約関係にあり、応札したWDは、日米韓連合との契約締結に強く反発した。そもそもWDは、ハードディスク駆動装置(HDD)分野で世界首位だが、2016年に17年間東芝と提携関係にあった半導体メモリー大手の米サンディスクを約1兆9000億円で買収し、半導体メモリー事業に参入。NAND型フラッシュメモリーの開発・生産は東芝頼みだったため、東芝の協力を得られなければ、将来の戦略が描けない立場にある。 

WDは、提携契約によれば、東芝のメモリー部門の分社化も売却もWDの同意を要するはずだと主張し、今年5月には国際仲裁裁判所へ仲裁申立をしている。なお仲裁による解決には数年を要するとみられる。

 日米連合への売却交渉の頓挫

WDとの提携契約がネックになって東芝と日米韓連合とは最終合意に至らず、8月下旬からは、東芝は、WDを中心とした日米連合と詰めの協議に入った。日米連合の構成は、WD、米投資ファンドのコールバーク・クラビス・ロバーツ(KKR)、産業革新機構、日本政策投資銀行などである。しかし、WDは経営支配を望み、交渉は難航。他方、鴻海(ホンハイ)精密工業を軸とするホンハイ連合も名乗りを上げている。

デッドラインは2018年3月末-各国の独占禁止法審査の期間からもタイムリミットはすでに来ている。東芝には厳しい日々が続く。

翻訳:Yuu Yamanaka /編集:M&A Online編集部

<参照URL>
Toshiba to speed up talks with Bain-led group on $20bn chip sale(Financial Times)
Toshiba Says It Favors Bain Group’s Bid for Microchip Business(The New York Times)
Bain says Dell, other tech firms join its bid for Toshiba chip unit(Reuters)

M&A Online編集部

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2017/09/03

東芝は8月24日の経営会議で、半導体事業を8月中に売買契約締結するために、ウエスタンデジタル(WD)陣営と優先的に協議することを決めたと報じられています。いかにも東芝が自発的にWDと協議を始めるようなニュアンスですが、実際はかなり違っているはずです。

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