企業会計基準委員会(ASBJ)は2016年10月6日、リサーチ・ペーパー第2号「のれん及び減損に関する定量的調査」を公表した。M&Aに伴い発生するのれんや減損について米国、欧州、日本、豪州の4地域を定量的に調査し、比較している。その概要を紹介するとともに会計基準が日本企業のM&Aに与える影響について考察したい。

リサーチ・ペーパー第2号「のれん及び減損に関する定量的調査」はこちら

のれん合計額、米国は日本の44倍

 まずはのれん合計額の推移をみてみる。日本は490億ドル(100円換算で4兆9000億円)。米国は2兆1490億ドル(214兆9000億円) と日本の44倍。欧州は1兆6230億ドル(162兆3000億円) と日本の33倍だ。

 対象会社は、各地域の代表的な株価指数の関連銘柄で、米国はS&P500、欧州はS&PEurope350、日本は日経225、豪州はS&PASX200を採用している。

 のれんの合計額が違う理由として、集計対象の企業数の違いに加えて、会計基準において、のれんが償却か非償却が大きいと推察される。

 次に1社あたりののれんの金額をみると、日本は3.9億ドル(390億円)に対し、米国は55.8億ドル(5580億円)と 日本の14倍、欧州は53.0億ドル(5300億円)と 日本の13倍に達する。

 これは、会計基準において、のれんが償却か非償却の違いに加えて、米欧企業は企業規模が大きく、1社あたりの買収金額が大きいことも理由と推察される。

■純資産に対するのれん、日本は4%どまり


 減損、取得、償却の推移をみると、日本のみ償却を計上している。その分、減損が少ない事が伺える。

 純資産に対するのれんの割合は米国、欧州では純資産の約3割に相当する。日本は4%から変動がなく、かつ米欧と比べて大幅に小さくなっている。日本はのれんを定期償却するため、金額が小さくなることが影響していると推察される。

図の出所:リサーチ・ペーパー第2号 「のれん及び減損に関する定量的調査」