ベイカレント<6532> 減損テスト結果の開示
上場直後に社長が辞任したことで話題になったベイカレント・コンサルティング。のれんの減損テストの結果が開示されています。
2017年01月31日公開
ソニーは1月30日に「映画分野の営業権に関する減損計上のお知らせ」なるIRを発表し、2016年10~12月期に減損損失1121億円を営業損失として計上すると発表しました。
2017年3月期の連結業績予想は、売り上げ7兆4000億円、営業利益2700億円、うち映画事業は売り上げ9100億円、営業利益290億円となっていましたが、すべて2月2日の2016年10~12月期決算発表時に公表するとして業績予想を引っ込めてしまいました。
IR資料によると、減損の対象となった営業権の大半は1989年にコロンビア・ピクチャーズ・エンタテインメント(現・ソニー・ピクチャーズ・エンタテインメント)を公開買い付けした際に計上したものとされています。
具体的には計上されている映画分野の営業権のうち、プロダクション・アンド・ディストリビューションの1121億円を全額減損するようです。これは映画制作・配給という映画会社本来の業務にかかわるところで、ここを全額減損するということは今後の映画事業の収益見通しが「とてつもなく悪化している」ことになります。
またメディア・ネットワークの営業権1145億円は、そのまま計上していくようです。
ところで1989年にソニーがコロンビア・ピクチャーズ(当時)を買収した金額は48億ドル(約5000億円)でしたが、1995年にも営業権の減損損失を2652億円計上しています。
映画会社とは、その事業の性格上から企業価値の大半は営業権(要するにヒット作品を生み出して稼いでくれるはずという期待感の対価)となりますが、買収以降その大半を減損してしまったことになります。
ソニー・ピクチャーズは、本場ハリウッドの映画会社(制作・配給会社)では大手6社の一角です。そして世界でも米国でも映画業界は決して不況ではありません。
まだ2015年の集計しかありませんが、映画産業の世界規模は383億ドル(4兆2000億円)で前年比5%伸びています。国別トップは米国の111億ドル、2位が中国の68億ドル(前年比41%増)、3位が英国の19億ドル、4位が日本の18億ドルと続きます。2016年はポンド安だったので日本が3位に浮上しているはずです。
また大手6社とは、ウォルト・ディズニー、ユニバーサル・スタジオ(ケーブルテレビのコムキャスト傘下)、ワーナー・ブラザース(タイム・ワーナー傘下)、20世紀・フォックス(ニューズ・コーポレーション傘下)、パラマウント(ケーブルテレビのバイアコム傘下)、それにソニー・ピクチャーズのことです。
ソニー・ピクチャーズを除いた5社は、すべて世界的な総合メディア・グループの傘下にあり、映画(アニメも含む)もそのグループ戦略にしっかりと組み込まれています。
2015年10月にコムキャスト傘下のユニバーサル・スタジオが、日本のユニバーサル・スタジオ運営会社の51%を1830億円でゴールドマン・サックスから買ったのも、グループ戦略の一環だったはずです。
上場直後に社長が辞任したことで話題になったベイカレント・コンサルティング。のれんの減損テストの結果が開示されています。
大企業で不祥事が相次いで発覚しているが、中小企業ではどうだろうか。M&Aを実行する際、事前に財務デュー・ディリジェンスを実施することで不正の抑止力となると専門家は指摘する。