■三洋電機の買収以降は、自動車関連事業を強化

続いて最近のパナソニックによる買収のリストを見てみよう(※パナホーム含むグループ内の再編は除外した)。三洋電機の買収という大型のM&Aで耳目を引いた同社だが、一時は距離を置いていたM&Aを、事業推進の加速装置として使おうとしている様子。1兆円のM&A投資枠を設けて、グローバルに推進しているところだ。

パナソニック自身がかねてから強調してきた自動車関連の事業を強化しようとする姿勢が伺える。

買収時期企業名(国名)事業内容買収金額
2010年7月 三洋電機 総合電機メーカー 約6600億円
2011年10月 Starling Advanced Communications(イスラエル) アンテナ・衛星通信設備の製造販売 約8億4400万円
2013年10月 ヴィコ エレクトリック(トルコ) 送電・給電関連部品の設計と製造 約473億4300万円
2015年3月 ITC Global(アメリカ) 遠隔・極地への衛星通信サービス -
2015年6月 MagicInk Interactive(アメリカ) デジタルサイネージ -
2015年9月 Quick Service Software(カナダ) POS端末を管理するバックオフィスソフトウェア -
2015年12月 ハスマン(アメリカ) 業務用冷凍・冷蔵ショーケースメーカー 約1735億8100万円
2016年5月 オープン シナジー(ドイツ) 車載ソフトウェア -
2016年12月 Zetes Industries(ベルギー) 欧州物流システム大手 約118億8000万円
2017年1月 テラ ダイオード(アメリカ) 産業用のレーザーの開発、製造、販売 -
2017年3月 フィコサ(スペイン) 自動車用部品のティア1サプライヤー 約83億6900万円

M&A Online編集部作成

先進運転支援システム(ADAS)とその発展の延長線上にあるAIを活用した自動運転技術の実装や、さまざまなセンサーを搭載を進展させるクルマのIoT化など、自動車分野には成長を期待する向きも多く有望だ。

2017年に入ってからの買収でも、自動車部品の溶接などに使う、レーザー加工技術に強みを持つとされる、米マサチューセッツ州のテラダイオードを、販路拡大への貢献も見込んで買収。3月にはほかにも、自動車向け部品の研究開発を行うスペインのフィコサ社の株式保留比率を引き上げ、電子ミラーや次世代コックピットでのプレゼンスの拡大を目指す。

■M&A巧者・松下幸之助のDNAは目覚めるか?

パナソニックとM&Aの関係はしかし、それだけではない。同社が総合電器メーカーにまで成長する過程で、外部の企業をいくつも取り込んできており、成長の原動力にもなってきた。

松下幸之助の死後(1989年)、松下電器はM&Aで大きな失敗も経験している。良質なコンテンツを求めてアメリカの大手映画会社MCA(後にユニバーサル・スタジオ・インクに改名)を1990年に買収。当時話題となったが、95年にカナダの酒造会社シーグラムに売却している。

今回ご紹介できなかった多数のM&Aも含めて、同社は松下幸之助が創業した松下電器から現在のパナソニックにまで成長する中で、M&Aに果敢に取り組んできたDNAを持っているといえるかもしれない。そのDNAを目覚めさせて、成長をさらに加速させていけるだろうか。今後の動向からも目が離せそうにない。

文:M&A Online編集部

松下幸之助 生き抜く力