武田薬品工業<4502>がベルギーの創薬ベンチャーであるタイジェニックスを約700億円で買収する。約6兆8000億円を投じるアイルランドの製薬会社シャイアの買収を発表したのが5月8日。わずか1カ月足らずで再び買収に踏み切った。なぜそんなに頻繁に買収が必要なのか。理由は同社の新薬開発状況にある。

買収で全世界で販売が可能に

武田薬品は2018年1月にタイジェニックス買収で同社と合意、同年4月から5月末にかけてTOBを実施した結果、90.83%の株式を取得した。武田薬品は6月から7月にかけ残りの株式についてもTOBを行い、全株式の取得を目指す。

タイジェニックスは従来の治療薬か、生物学的製剤による治療で効果のなかったクローン病に伴う肛囲複雑瘻孔の治療薬の開発に成功している。肛囲複雑瘻孔は肛門周辺の激痛や感染症を引き起こす、クローン病に伴う最も重い症状の一つだ。

武田薬品は2016年7月にタイジェニックスから、この治療薬の米国以外での独占的開発、販売権を獲得しており、今回の買収によって米国市場を含め全世界で販売が可能になる。

欧州委員会(EC)は2018年3月にタイジェニックスの薬剤を肛囲複雑瘻孔の治療剤として承認しており、武田薬品では3月の時点で「今後数カ月間のうちに、欧州の患者さんにこの治療オプションを提供できることを心待ちにしている」とのコメントを発表していた。

フェーズ3が不足

武田薬品の新薬開発状況は新薬につながる新規候補物質のうち、フェース1が12種、フェーズ2が9種、フェーズ3が3種、承認が11種ある。承認済みの新薬はすぐに売り上げにつながるものの他のフェーズにあるものは製品化までに時間がかかる。

問題なのは比較的製品化に近いフェーズ3の新規候補物質が少ないこと。承認済みの製品の売り上げが落ちてきた時に次の売り上げの柱となるのがフェーズ3だが、ここが薄いというのは将来、販売できる薬剤が乏しくなることを意味する。

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武田薬品工業の新規候補物質

疾患領域フェーズ1フェーズ2フェーズ3承認
がん TAK-573 sapanisertib pevonedistat NINLARO
TAK-079 TAK-659 relugolix ALUNBRIG
XMT-1522 TAK-931   Cabozantinib
TAK-788     ADCETRIS
      ICLUSIG
      Niraparib
消化器系疾患 TIMP-Gliadin TAK-906   ENTYVIO
  TAK-954   AMITIZA
      Vonoprazan
      ALOFISEL
神経精神疾患 TAK-653 TAK-935   TRINTELLIX
MEDI-1341 TAK-831    
TAK-418      
TAK-925      
TAK-041      
ワクチン TAK-021 TAK-195 TAK-003  
TAK-426 TAK-214