米ゼロックスは5月13日、富士フイルムホールディングス(HD)<4901>による経営統合合意を終結させると発表した。経営統合に反対していた筆頭株主で投資家のカール・アイカーン氏と同じく大株主で実業家のダーウィン・ディーソン氏の両氏と再度和解することになったからだ。

損害賠償請求も

これに伴い、統合を主導したジェフ・ジェイコブソンCEO(最高経営責任者)ら経営陣が退任し、新しいCEOにジョン・ビセンティン氏が就任する。発表文によると、新経営陣は直ちに会合を開き、株主価値を最大化する戦略的代替案を検討するとしている。統合計画は5月に入って2週間で、すでに二転三転を経ており、先行きについて予測が立たない状況だ。

米ゼロックスは5月1日、アイカーン氏ら大株主2氏と統合計画の見直しを含む和解案で合意し、富士フイルムHDによる統合計画は急ブレーキがかかり、黄色信号が灯った。同社はその2日後の3日、今後は和解案が失効したことを発表し、ジェイコブソンCEOら経営陣も退任から一転留任することになり、統合計画は元の鞘に収まるかに見えた。しかし、今回、事態は再び180度変わり、一気に赤字信号に切り替わった形だ。

発表文によると、富士フイルムHDに買収条件の引き上げなどを求めたが回答がなかったとしている。富士フイルムHDは声明で「ゼロックスに一方的に終了する権利はない」などと批判、損害賠償請求を含めて法的手段を視野に入れる。現時点で、統合実現は極めて困難と言わざる得ず、白紙撤回が現実味を帯びてきた。

富士ゼロックスの帰趨は?

富士フイルムHDが米ゼロックスを買収し、経営統合することで合意したのは1月末。子会社の富士ゼロックスと米ゼロックスを統合したうえで、新会社の株式の過半数(50.1%)を取得し、9月までに子会社化する内容だった。これに対し、アイカーン氏らが「(ゼロックスを)過小評価している」として反対を表明、米ニューヨーク州裁判所に統合計画の差し止めを求める訴えを起こし、4月末には買収差し止めの仮処分が下った。

事態がどう転ぶかまったく予断は許さないが、ゼロックス自体も経営状況は厳しいとされることから、いずれは入札によって富士フイルムHDに代わる新たな売却先を探すことになるとの観測も浮上している。その際、日米合弁会社である富士ゼロックス(富士フイルムHD75%、ゼロックス25%をそれぞれ出資)の帰趨ががぜん注目される。

文:M&A Online編集部