HISが売却へ、なぜハウステンボスは3度も「身売り」された?

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リーマンショックに伴う集客減で2度目の身売り

テーマパークとしての営業は継続し、野村ホールディングス<8604>のベンチャーキャピタルである野村プリンシパル・ファイナンスをスポンサーとする再生計画案が認可。同社がハウステンボスに110億円を出資して2004年4月にリニューアルオープン、経営再建に乗り出す。

当初は韓国や台湾、香港、中国などの海外旅行ブームに乗ってインバウンド集客に成功した。しかし、2008年のリーマンショックに端を発した世界金融不況の影響でインバウンド客が激減。2009年3月期には約27億円の営業赤字を計上する。2010年3月、出資分を回収できないまま野村プリンシパルはハウステンボスの支援から手を引いた。

野村プリンシパルから経営撤退の申し入れを受けた地元は、HISの澤田秀雄社長にハウステンボスの再建を依頼。澤田社長は支援は了承したが、「身請け」には否定的だった。だが、九州財界からの強い働きかけに加え、60億円あった債務の8割を債権放棄した上で残る債務も地元企業が肩代わりして債務をなくし、佐世保市が固定資産税納付額に相当する再生支援交付金を10年間出すなどの条件で、澤田社長もようやく重い腰を上げる。

HISは2010年4月、集客数を増やすためにハウステンボス敷地の南側3分の1を無料で入場できる「フリーゾーン」(現「ハーバーゾーン」)として開放。ハウステンボスとは無縁の企業による新規出店も受け入れた。2015年7月にはHISが恐竜型ロボットが宿泊受付をする「変なホテル」1号店を開業するなど話題を集めた。

ロボットがフロント業務をする「変なホテル ハウステンボス」(同社ホームページより)

実はHISが2018年12月に、中国からの集客増を狙って上海に本社を置く投資会社の復星集団(フォースングループ)から24.9%の出資を受けると発表している。しかし、2019年2月に理由が明らかにされないまま中止となった。当時、積極的な海外投資をしていた大手企業への融資を制限するよう金融機関に通達を出していた中国政府からの圧力がかかったとの見方もある。

M&A Online編集部

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