マレリの事業再生ADR断念でKKRの企業買収に「急ブレーキ」

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大手自動車部品メーカーのマレリホールディングス(旧カルソニックカンセイ)が申請していた私的整理の一つ事業再生ADRが頓挫した。これにより、同社親会社の米投資ファンド、コールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)の日本での影響力がさらに低下しそうだ。

世界7位の自動車部品会社を誕生させたが、経営は破綻

KKRは2017年3月に傘下のCKホールディングス(HD)を通じてカルソニックカンセイ株を取得して完全子会社化した。2019年5月にはCKHDを通じてフィアット・クライスラー・オートモービルズ (FCA)からマニエッティ・マレリの全株式を買収。同10月にはカルソニックカンセイと経営統合させ、世界7位の独立系自動車部品メーカーが誕生した。

しかし、主要取引先である日産自動車の経営不振などでマレリの負債額は2020年12月末時点で1兆1856億円に達し、経営が行き詰まる。「規模が大きくなければ生き残れない」とばかりに大手自動車部品メーカーを買収したものの、コロナ禍に伴う受注減にリストラが追いつかなかった。

こうした事態を受けて、マレリの経営統合を主導した親会社KKRの経営手腕が問われている。セブン&アイ・ホールディングスが百貨店のそごう・西武の売却を進めているが、同社の買収に意欲を燃やしていたKKRは第1次入札を通過できなかったようだ。

KKRは2022年4月に日立物流の買収で合意にこぎつけたが、TOB(株式公開買い付け)価格が4回も引き上げられ、当初の1株5500円から8464円に。日立物流の理論株価はDCF法で6000円台とされ、「高値づかみ」の感は否めない。

現在、東芝の買収交渉が水面下で動き出しており、KKRも参入を検討している。だが、マレリの失敗で国や銀行、そして東芝からもKKRの再建手腕に疑問の目が向けられている。大規模な経営統合に失敗したこともさることながら、「後始末」の事業再生ADRすらまとめられなかったことで、日本でのKKRの信用は急落した。今後、KKRは日本企業の買収で苦戦しそうだ。

文:M&A Online編集部

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