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大学発ベンチャーの「起源」(48) 未来シェア
未来シェアは、公立はこだて未来大学発のICT(情報通信技術)ベンチャー。2016年の設立以来、世界初のAI(人工知能)による配車システムの社会実装に取り組んでいる。世界で新たな潮流となっているMaaSの実現を目指す。今後の成長が期待できる。
タクシー国内最大手の第一交通産業<9035>を創業した黒土始会長が6月に退任し、特別功労金15億9400万円が支払われる。しかし、2022年3月期の同社決算での営業利益は3億4000万円。2期ぶりの黒字転換だったが、特別功労金の支払いで当期純損益は8億4200万円の赤字になった。株主総会で議論を呼びそうだが、この支給額は高いのか?それとも適正なのか?
黒土会長は1960年6月に同社の前身となる第一タクシー有限会社を設立し、社長に就任。2001年6月に代表取締役会長、2015年11月に取締役創業者名誉会長、2017年7月からは代表取締役創業者名誉会長を務めている。代表取締役を60年、取締役を含めると62年にわたって同社の経営をリードしてきた。
特筆すべきはM&Aだろう。2010年以降だけでも35社を買収しており、そのほとんどがタクシー会社だ。M&Aで保有台数を増やし、2022年3月末で8074台のタクシーを保有。業界2位で東京を地盤とする日本交通(東京都千代田区)の6939台(2021年11月末、業務提携会社分2643台を含む)を引き離している。
北九州市で創業し、M&Aを駆使して日本最大のタクシー会社に育て上げた黒土会長の功績は大きい。ただ、特別功労金の一般相場と比べてみると、どうか?役員慰労金の計算方法には「功績倍率法」と「1年当たり平均法」の二つの方法がある。通常は功績倍率法を使うので、この計算式で見てみよう。
功績倍率法の計算式は
役員退職慰労金=退職時の月額報酬×勤続年数×功績倍率
となる。
「功績倍率」は役職によって違い、創業者である代表取締役では3.0倍から3.4倍が相場だ。黒土会長の年収は2021年3月期に3億1000万円で、2022年3月期も同額とすると月額報酬は約2580万円となる。勤続年数は62年間で、2年間は代表権のない取締役だが実質的な経営トップであり、全期間を代表取締役の功績倍率で計算するのが妥当だろう。
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未来シェアは、公立はこだて未来大学発のICT(情報通信技術)ベンチャー。2016年の設立以来、世界初のAI(人工知能)による配車システムの社会実装に取り組んでいる。世界で新たな潮流となっているMaaSの実現を目指す。今後の成長が期待できる。