「希望退職者募集」ぶり返した? 5月は今年最多の5社

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PHCホールディングスの本社で(東京・西新橋)

上場企業による希望退職者募集の動きがここへきてぶり返した。5月はタキヒヨーの約150人を筆頭に5社が計画を発表した。2月2社、3月、4月各1社にとどまっていたが、1月の4社を上回る今年最多となった。

上場企業の希望退職者募集(計画発表ベース)は2018年9月から今年5月まで45カ月連続している。コロナ初年の2020年は少なくとも93社(M&A Online調べ)を数え、前の年の2.6倍に達した。ピークだった2020年11月は月間で16社に上った。2021年は4割以上減ったとはいえ、年間50社を超えた。

これに続く2022年は1~5月段階で13社(一覧表)と、前年同期(23社)より10社少ない。とくに2月以降、小康状態にあったが、5月は一転して月間5社に跳ね上がった。

大幸薬品、過剰在庫で業績暗転

大衆薬中堅の大幸薬品は、空間除菌剤「クレベリン」の過剰在庫問題で業績が暗転したのを受け、30人程度の希望退職者を6月13日から募る。

「クレベリン」はコロナ禍で一時需要が急拡大したのに伴い、生産設備を増強したが、売れ行きが落ちて在庫の消化が進まず、2021年12月期は約95億円の最終赤字(前期は38億円の黒字)を計上。固定費の削減を中心にコストダウンを進め、業績回復を目指す。

繊維商社のタキヒヨーは約150人を募集中。同社は2022年2月期まで2期連続の最終赤字で、募集人員は単体従業員の2割強に相当する。衣料品市場が低落しているところに原材料費や物流費の高騰が重なり、収益を圧迫している。

ネット専業の旅行会社、旅工房は6月1日、30歳以上の正社員を対象に希望退職者の募集を始めた。募集人員の約70人は単体従業員の3割近くにあたる。2022年3月期末に10億7300万円の債務超過に陥っており、人員体制を見直す。2022年3月期の売上高は10億3700万円と、コロナ前の1割にも満たない。

訪販のシャルレ、3度目の募集

医療機器製造のPHCホールディングスは本体と中核子会社のPHCのいずれも本社部門に限定して希望退職を実施する。重複する管理業務の削減やスリム化を推し進めるのが狙いで、勤続10年以上の社員・再雇用者が対象。2022年3月期はM&A関連で171億円の減損損失計上などで84億円の最終赤字(前期は169億円の黒字)に転落した。

PHCホールディングスは松下寿電子工業を前身とする。2010年にパナソニックヘルスケアに社名を変更し、2012年に三洋電機のヘルスケア部門を統合。2014年にパナソニックグループから独立し、2018年に現社名に。

コロナ禍の影響下、3度目の希望退職に踏み切ったのは女性下着や化粧品の訪問販売を手がけるシャルレ。過去2度は募集人数を定めずに実施したが、今回は約25人とし、5月中に募集を済ませた。

訪問販売市場の縮小に加え、長期化するコロナ禍による営業活動の低下、原材料費の高騰など厳しい事業環境に対応し、人員構成を是正し、損益分岐点の引き下げに伴う利益体質の強化を実行することが急務との判断だ。

◎2022年1~5月:希望退職者の募集を発表した上場企業

企業名 募集人数(期間)、募集期間など
5月 大幸薬品 30人程度(6月13日~22日)
PHCホールディングス 人数は定めず(8月1日~10日)
タキヒヨー 150人程度(5月30日~6月30日)
シャルレ 25人程度(5月19日~31日)
旅工房 70人程度(6月1日~7月8日)
4月 日本高周波鋼業 子会社の高周波精密で60人程度(7月1日~29日)
3月 津田駒工業 100人程度(5月9日~20日)
2月 富士通
セルフ・プロデュース支援制度に基づく→3031人応募

日本アンテナ
50人程度(2月9日~3月11日)→36人応募
1月
平和
250人程度(1月18日~2月18日)→255人応募

協栄産業
30人程度(2月7日~28日)→27人応募

スーパーバッグ
40人程度(1月24日~2月4日)→19人応募

昭文社ホールディングス
非公表(2月1日~18日)→19人応募

文:M&A Online編集部

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上場企業で希望(早期)退職者の募集結果に関する発表が相次いでいる。今年に入って13社(一覧表)を数えるが、約半数の6社は応募者が100人を超える。なかでも最多は富士通で、応募者は3000人(国内グループ企業を含む)以上にのぼった。