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サブカル聖地の「ヴィレッジヴァンガード」不採算店を閉鎖
ヴィレッジヴァンガード(Village Vanguard)の店舗数が2014年以降、年々減少している。売上高(単体)も2012年5月期の389億3,200万円をピークに2018年5月期は334億6,000万円にまで減少している。
遊べる本屋「ヴィレッジヴァンガード」やハンバーガーレストラン「ヴィレッジヴァンガードダイナー」を運営するヴィレッジヴァンガードコーポレーション<2769>が、2022年5月期第3四半期に7,700万円の営業利益(前年同期は4億3,800万円の営業損失)を計上しました。
新型コロナウイルス感染拡大によるショッピングモールの一時閉鎖・営業時間短縮などの影響を受け、大赤字を出した前期から一転。早くも黒字化を実現しています。継続的な客数の減少、不採算店の閉鎖による売上高の減少を余儀なくされているものの、仕入・在庫コントロールを効かせて原価を抑制しています。
この記事では以下の情報が得られます。
・ヴィレッジヴァンガードの業績推移
・黒字化の要因
ヴィレッジヴァンガードはコロナ禍の2021年5月期第3四半期の売上高が前期比14.1%減少。2022年5月期第3四半期の売上高はそこから更に8.1%もの減少に見舞われています。コロナ前の2019年5月期第3四半期の売上高と比較すると22.8%の減少です。
■ヴィレッジヴァンガード業績推移(単位:百万円)
2018年5月期 第3四半期 |
2019年5月期 第3四半期 |
2020年5月期 第3四半期 |
2021年5月期 第3四半期 |
2022年5月期 第3四半期 |
|
売上高 | 25,577 | 25,209 | 24,671 | 21,196 | 19,481 |
前期比 | 95.4% | 98.6% | 97.9% | 85.9% | 91.9% |
営業利益 | 462 | 332 | 112 | -438 | 77 |
前期比 | 206.0% | 71.9% | 33.7% | - | - |
営業利益率 | 1.8% | 1.3% | 0.5% | - | 0.4% |
※決算短信より筆者作成
ショッピングモールや繁華街への出店が多いヴィレッジヴァンガードは、緊急事態宣言の影響を強く受けました。2020年5月は250店舗の休業を余儀なくされ、一時売上高は前年対比で20%を下回る水準まで低下しています。
コロナを機に不採算店を閉鎖しました。2022年2月末時点の店舗数は320。2020年2月末と比較して20店舗減少しています。店舗を整理したものの、集客力はコロナ前の水準まで回復しておらず、2022年5月期第3四半期のヴィレッジヴァンガードの1店舗当たりの月商は680万円ほど。2020年5月期第3四半期の810万円から16.2%減少しています。
※ヴィレッジヴァンガードは2022年5月期第1四半期から「収益認識に関する会計基準」が適用されていますが、基準を前期と揃えた場合でも月商は710万円であり、大幅に減少していることには変わりありません。
ヴィレッジヴァンガードは、1店舗当たりの稼ぐ力が著しく失われたため、原価を抑制して利益が出る体制へとシフトしました。2022年5月期第3四半期の原価率は59.4%。2020年5月期第3四半期と比較して3.5ポイントも下げています。収益認識の基準を合わせた場合の原価率も61.3%であり、1.5ポイント抑制しています。
ヴィレッジヴァンガード(Village Vanguard)の店舗数が2014年以降、年々減少している。売上高(単体)も2012年5月期の389億3,200万円をピークに2018年5月期は334億6,000万円にまで減少している。