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M&Aで拡大したクリレスとDD、勝敗を分けた経営戦略とは

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2019年に開発したDDの新業態「フタマタ」

外食業界の中でM&Aを成長戦略に盛り込んだ、成長著しい企業が2つあります。クリエイト・レストランツ・ホールディングス<3387>とDDホールディングス<3073>です。クリレスが1997年創業で売上規模が1400億円。DDは1996年創業で売上規模は570億円です。

年に1~2社のペースで買収を繰り返していたクリレスとDDですが、経済が未曾有の危機に陥ったコロナ禍で2社の明暗ははっきりと分かれました。勝敗の決め手となったのが、グループ連邦経営と呼ばれる分散投資でした。新型コロナウイルス感染拡大前からそれを明確化していたクリレスの経営戦略は、厳しい時代に直面した外食企業の指針となるかもしれません。

この記事では以下の情報が得られます。

・クリレスとDDの業績比較
・新型コロナウイルスの影響
・2社のM&Aの概要

50店舗の退店を決めたDD

磯丸水産
クリレスの子会社SFPホールディングスの主力業態「磯丸水産」

2社の決定的な違いは月次の売上に色濃く反映されています。クリレスは2020年5月の売上が前年同月比36.3%、DDは11.0%でした。

月次売上(前年同月比較) 3月 4月 5月
クリレス 60.6% 33.1% 36.3%
DD 61.2% 5.2% 11.0%

この差は両社が保有している業態、出店場所の違いです。クリレスはカフェや食堂、ダイニングレストラン、しゃぶしゃぶ、焼肉、居酒屋など多様な業態を持っています。出店場所も繁華街、住宅地、商業施設、ロードサイドなど様々です。DDは繁華街の居酒屋、ダイニング、カフェ、バーが中心となっています。クリレスは飲食店の分散投資を経営戦略に盛り込んでいるのです。

クリレスの2021年2月期第1四半期の売上高は前期比63.0%減の118億1200万円、DDが68.2%減の45億7300万円でした。

2021年2月期第1四半期業績(万円) 売上高 営業利益 純利益
クリレス 11,812
(63.0%減)
△7,728 △7,920
DD 4,573
(68.2%減)
△4,278 △2,603

今のところ業績に大きな差はないように見えますが、決算発表後の動きでその違いは明確になります。

クリレスは早々と未定としていた2021年2月期通期の業績予想を公表しました。売上高は1060億円(前期比24.0%減)、純損失を73億円(前期は18億1800万円の黒字)としています。飲食店に凄まじいインパクトを与えているコロナ禍において、売上は24%の減少に留まります。月次の売上は9月に90%まで回復する予想です。大規模な退店はなく、子会社を合併して経費圧縮と合理化を進めるとしています。

一方、DDは通期の業績予想が出せていません。暗中模索が続く中、1割強の店舗を退店する決定をしました。DDの店舗数は480、およそ50店舗を閉鎖することとなります。

DDは第1四半期で26億円の純損失を計上したため、純資産の合計額が54億円となりました。自己資本比率は11.7%。前の年と比較して10%近く低下しています。DDがこの状態で50店舗もの退店による特別損失に耐えられるとは考えにくく、増資による資金調達、または子会社の売却は避けられないでしょう。

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