ご注意ください
この記事は公開から1年以上経っています。掲載されている情報は、公開当時のものです。

5分でわかる 大戸屋とコロワイドが経営権を巡って揉めている理由

alt
大戸屋ごはん処 元住吉駅前店

焼肉店「牛角」や居酒屋「甘太郎」を運営するコロワイド<7616>が、19.1%の株式を保有する大戸屋ホールディングス<2705>に対して、6月の株主総会で株主提案を行います。創業者の息子である三森智仁氏の社外取締役就任を求めるコロワイドに対し、大戸屋は会社法が定める社外取締役候補に含まれないことを理由にそれを拒否。早くも一波乱ありそうな予感に包まれています。

国内353店舗(2019年3月末)を展開し、定食業界で抜群の知名度を誇る大戸屋は、2015年7月に創業者・三森久実氏が急逝したことで後継者を巡る大騒動に見舞われました。2019年10月にコロワイドが創業者一族から株式を買い取り、お家騒動は終結します。ところが、台風の目となった三森智仁氏を、コロワイドは社外取締役候補として推薦したのです。

コロワイドが株主提案をしたその狙いは何だったのでしょうか。この記事では以下の情報が得られます。

・コロワイドが株主提案をする背景と内容
・大戸屋の業績と問題点

セントラルキッチン導入が不可欠な大戸屋

新型コロナウイルスで休業や営業時間の短縮を強いられる大戸屋

コロワイドが株主提案をした背景には、大戸屋の業績が伸び悩んでいること、そして一番の課題である現場の生産性向上が遅々として進まないことがあります。店舗数拡大を目指す定食チェーンは通常、食材の加工を工場で処理するセントラルキッチンを導入します。それにより、現場スタッフの調理負担が減り、提供時間を短くできるからです。

しかし、大戸屋はそれを頑なに拒んできました。理由は店内調理をセールスポイントとしてきたからです。その場で調理することにこだわった創業者・三森久実氏の遺志を継いでいるとも言えます。

その思いとは裏腹に、業績は芳しくありません。営業利益率に注目してください。2.8%から1.6%へと1.2ポイント悪化しています。

大戸屋業績推移(百万円) 2017年3月期 2018年3月期 2019年3月期
売上高 25,615 26,265 25,729
営業利益 710 634 414
営業利益率 2.8% 2.4% 1.6%

2019年3月期は前期比で売上高が2%減少し、営業利益が34.7%は減少しています。2020年3月期は売上予想を250億円としており、2.8%減少する見込みです。新型コロナウイルスの影響が出る前から、売上高も減少傾向が続いているのです。

コロワイドが株式を取得した後も経営改革は進んでいません。コロワイドは大戸屋にM&Aを打診してグループ傘下に入ることを進言しましたが、独自の経営スタイルを崩さない現経営陣はこれを拒否しました。そこで、株主提案という強硬策へと至ったのです。

提案内容は大きく4つあります。1つはコロワイドが推薦する候補者12名を一括して取締役に選任すること。2つ目はセントラルキッチンを導入すると同時に、コロワイドの仕入れ・物流網を生かして効率化と原価の抑制に努めること。3つ目は出店候補地や運営ノウハウなどの情報をコロワイドと共有すること。そして株主優待の拡充です。

これに対し、大戸屋の現経営陣は反発します。

NEXT STORY

大戸屋のお家騒動が終結、コロワイドが筆頭株主に

大戸屋のお家騒動が終結、コロワイドが筆頭株主に

2019/10/04

飲食事業を展開するコロワイドが、大戸屋の筆頭株主に躍り出ました。創業者三森久実氏の妻・三枝子氏と息子の智仁氏が、持ち株のすべてを譲渡しました。これにより、急逝した久実氏の後継者を巡る壮絶な争いに終止符が打たれたことになります。

関連のM&Aニュース