緊急事態宣言が解除され、観光地やショッピング街に人が戻り始めています。営業の自粛や時短営業を余儀なくされていた飲食店も、本格的な営業再開に向けて準備を進めています。今後は、外出や外食を控えていた人々が一時的に強い消費傾向を示すリベンジ消費に期待ができます。

外食企業は2020年5月の売上高で、ブランドごとに明確な差が生じました。この記事はファーストフード、牛丼、回転ずし、ラーメンの業態で売上を比較し、比較的早く業績が回復しそうな企業を炙り出すものです。

以下の情報が得られます。

・売上が好調なブランド
・強さの秘訣

客数、客単価ともに前年を上回った王者KFC

モーニング、ランチ、ディナー、テイクアウト、デリバリーのすべての需要を獲りに行くマクドナルド

ファーストフードにおいては、日本マクドナルドホールディングス<2702>、日本KFCホールディングス<9873>、モスフードサービス<8153>の3社ともに100%を上回る好調な結果となりました。ただし、KFCは頭一つ飛びぬけています。他社の客数が20%前後落ち込む中、KFCは客数が6.5%も前年を上回ったのです。

■ファーストフード2020年5月売上高(前年同月比 単位は%)

  KFC マクドナルド モスバーガー
売上高 137.6 115.2 112.2
客数 106.5 79.3 85.8
客単価 129.2 145.3 130.7

マクドナルド、モスバーガーは急減した客数を、30~45%も引き上げた単価で補っているのが分かります。平時の客単価はマクドナルドが570円、モスバーガーが900円ほど。マクドナルドは830円、モスバーガーは1,180円まで引き上げたことになります。

マクドナルドは、ダブル肉厚ビーフの「サムライマック」を4月8日から5月中旬にかけて販売しました。価格は単品で490円、セットで790円となります。その他、17時から提供する「夜マック」の「ごはんバーガー」(440円)が人気です。夜マックは、昼に390円で販売している「ビッグマック」の肉を2倍にする「倍ビッグマック」を490円で提供するなど、高単価商品に注力しています。

ファーストフードはファミリー層のテイクアウト需要が旺盛となり、客単価の上昇に拍車をかけました。マクドナルドは6月からスマートフォンのアプリで注文した商品を、店舗の駐車場で受け取れるサービスを開始しています。テイクアウトの利便性を高めて、客数の取り込みにも力を入れています。

KFCの客数増加の背景には、ハレの日需要からのシフトがあります。ケンタッキーはクリスマスや誕生日に食べるイメージが定着していました。そのイメージを払拭すべく、ワンコインランチを開始したのです。チキン、ビスケット、ドリンク、ポテトがついて500円という価格設定で、人気に火がつきました。これをレギュラーメニューとして販売したのは、非常事態宣言前の2020年1月です。CMの打ち出しとも併せて、このころから日常食としてのケンタッキーのイメージが浸透していました。

そこに新型コロナウイルスがやってきました。外食を控えた家庭がテイクアウトに群がり、特需ともいえる状態になりました。その波にのったKFCが好調をキープしているのです。

牛丼の中で一人負けの松屋

キッズメニューが奏功したすき家

吉野家ホールディングス<9861>、ゼンショーホールディングス<7550>は90%台と健闘。松屋フーズ<9887>が77.8%と落ち込みました。2社が90%台の客数を保つ中、松屋は76.3%と落ち込みが顕著です。

■牛丼2020年5月売上高(前年同月比 単位は%)

  吉野家 すき家松屋
売上高 92.7 90.8 77.8
客数 90.8 91.3 76.3
客単価 102.1 99.5 101.9

吉野家は、4月30日から牛カルビ、豚肉、鶏肉をすべてのせた「スタミナ超特盛牛丼」を販売。若い男性客向けの商品を投入しました。更に5月14日から子供向けの商品「ポケ盛」の販売を再開しました。2019年12月に予想以上の売れ行きをみせて販売を休止したもの。牛丼の小盛りにフルーツジュース、ポケットモンスターのキャラクターグッズがセットになっています。マクドナルドの「ハッピーセット」と同様の、ファミリー需要を獲りにいきました。

同様のセットはゼンショーのすき家でも販売しました。通常メニューに220円をプラスすると、りんご、ドリンク、クレヨンしんちゃんのおもちゃがついてきます。すき家は女性向けの「シーザーレタス牛丼」、「ハニマニレタス牛丼」も販売しました。その他、家庭ですき家の味が楽しめるミールキットサービスを始めるなど、女性を中心としたマーケティングを展開中です。

松屋は「タルタルチキン南蛮焼き定食」や「ごろごろ創業ビーフカレー」など、人気の定番メニューをアレンジした商品を投入しましたが、客数は今一つという結果となりました。明暗の分かれ目は、キッズ、ファミリー向けの商品開発にあったのかもしれません。