ペッパーフードサービス<3053>は2020年12月期第2四半期の売上高が前年同期比47.4%減の184億6200万円となり、純損失を79億1100万円(前年同期は5億1600万円の黒字)計上。55億5900万円の債務超過に転落しました。新型コロナウイルスによる営業自粛が響いた他、過剰出店解消のための114店舗退店による減損損失40億500万円で損失が膨らみました。

7月31日に経営支援を行うアドバンテッジアドバイザーズ(東京都港区)との業務提携を決定。プロモーションや出店戦略などの経営支援を受けると同時に、グループ内のファンドを引受先とする第三者割当増資を実施して100億円を調達します。

ペッパーフードサービスはペッパーランチを投資ファンドJ-STAR(東京都千代田区)に85億円で売却。売却資金でいきなりステーキの退店や解雇を進めるリストラ費用を捻出しました。今回調達する資金は本格的な立て直し費用として活用されます。新型コロナウイルスが再び猛威を振るう中、勝算はあるのでしょうか。

この記事では以下の情報が得られます。

・ペッパーフードの財務状況
・アドバンテッジアドバイザースとの提携内容
・現在の外食を取り巻く環境

一瀬邦夫氏が舵取りを継続できる華麗な資金調達

一瀬邦夫氏
経営危機を乗り切った一瀬邦夫社長(画像は決算説明資料より)

ペッパーフードが一時的な債務超過に陥ることは織り込み済みでした。7月3日に114店舗を退店すると発表し、その費用をペッパーランチの売却資金で補うとしていたからです。

過剰出店によって2019年12月期に27億700万円の純損失を計上し、この影響で純資産は5億9600万円(前年同期37億4500万円)と債務超過ギリギリのラインまで落ち込んでいました。このときは100店舗以上もの退店による減損損失に耐えられる状態ではありませんでした。新型コロナウイルス感染拡大前に予定していたSMBC日興証券(東京都千代田区)を割当先とする、第三者割当増資も株価の下落によって頓挫。2020年3月にGC注記がつきました。

そこからのM&Aと資金調達は鮮やかでした。会社の躍進を担ったペッパーランチを投資ファンドのJ-STARに売却し、「こてっちゃん」などを販売するエスフーズ<2292>の代表・村上真之助氏から20億円を調達したのです。

今回、アドバンテッジから調達した100億円を合わせて債務超過分を相殺すると、自己資本に150億円もの厚みがつくことになります。ペッパーフード最盛期の2017年12月期の自己資本額が43億円で、当時の自己資本比率は27.1%。150億円の自己資本が2020年12月期第2四半期末の状態でそのまま積み上がったと仮定すると、自己資本比率は45.4%となる計算です。倒産しにくい安全基準の一つとされる40%を優に超えることになります。

村上氏から借り入れた資金の返済期限は7月末となっており、仮にそれを予定通り返済したとしても自己資本比率40%台は維持できます。

一連の動きによって会社を健全な状態に戻した上、代表・一瀬邦夫氏の経営権は脅かされることのない建付けになっています。第三者割当増資前の2019年12月末時点での大株主は一瀬氏が17.12%を保有する筆頭株主。次いでエスフーズが11.70%を保有する主要株主となっていました。増資後はアドバンテッジグループのファンド「投資事業有限責任組合インフレクションⅡ号」が15.19%を保有する筆頭株主。次いで12.90%の一瀬氏、8.81%のエスフーズとなります。

インフレクションⅡ号は投資ファンド・アドバンテッジパートナーズ(東京都港区)が組成したもの。アドバンテッジパートナーズは経営の舵取りをするハンズオン型の支援を得意としています。しかし、今回の契約は経営コンサルティングのアドバンテッジアドバイザーズが支援するというものです。つまり、ペッパーフードは投資ファンド経営権を握られたわけではなく、一瀬氏はこれまで通り会社のコントロールができるのです。